投資初心者が知っておきたい「レバレッジ」株・FX・不動産のレバレッジとは
FX(外国為替保証金取引)
株の信用取引は約3倍のレバレッジですが、さらに大きなレバレッジ(最大25倍)をかけられるのがFXです。FXは、「円を売ってドルを買う」など、外国通貨の取引をすることで利益を得ようとする金融商品。
レバレッジをかけなくても、外国通貨の取引で利益を出すことは可能です。
たとえば、1ドル=100円の時に100万円でドルを買えば、1万ドルになります。今、金融機関口座には1万ドルあるわけです。
その1万ドルを使って、1ドル=120円の円安になってから円を買い戻せば、120万円になるので20万円の利益が出ます(為替手数料などを考慮に入れずに計算)。
FXのレバレッジは大きい
しかし、FXであればレバレッジをかけられます。そして、FXの最大の特徴は、レバレッジ効果が大きいこと。自己資金の何倍もの金額で外貨取引が可能です。レバレッジは5倍、10倍、25倍など、株と比べて高倍率です。
さきほどの例で考えると、自己資金が100万円あって、25倍のレバレッジをかけたとすると、2500万円分の取引ができる計算です。
1ドル=100円ですから、2500万円で25万ドル買えます。その後円安になって1ドル=120円になってから、25万ドルで円を買えば、3000万円です。つまり、100万円の自己資金で500万円の利益を生み出すこともできるのです。
とはいえ、損失が出る場合もあります。
1ドル=100円でドルを買ったあと、1ドル=90円の円高になったらどうなるでしょうか。
レバレッジをかけていなければ、100万円で1万ドルを買い、その後に円を買い戻すと90万円ですから10万円の損失です。
一方、25倍のレバレッジをかけていると、100万円の自己資金でも2500万円分の取引ができますから25万ドルを買うことができます。その後、1ドル=90円になってから円を買い戻すと2250万円にしかなりませんから、250万円の損失です。
自己資金100万円よりも大きな損失をこうむる可能性があることに、十分注意しなくてはなりません。
できれば避けたい強制ロスカット
実際の取引には、ロスカットという、いわば安全装置があります。
FXの取引をする場合には、FX口座に資金を預け、そこからドルを買うなどの取引をします。1ドル=100円の時に10万ドルを買う場合には、10万ドル=1000万円の25分の1である、40万円が口座になければ買えません。この40万円が、取引のための必要証拠金です。口座に50万円あれば、取引はスタートできます。
ただし、通貨レートの値動きは、必要証拠金だけではなく、口座残高も影響を受けます。
もし、1ドル=99.5円の円高になると、10万ドル=995万円ですから、必要証拠金は39万8000円。口座残高は、5万円の評価損が発生して、純資産額は45万円になります。
口座残高の純資産額が、必要証拠金に対して十分な余力があるかを示すのが、証拠金維持率です。証拠金維持率は、以下の計算で求められます。
純資産÷必要証拠金×100=証拠金維持率(%)
さきほどの例で計算してみましょう。
純資産が50万円、必要証拠金が40万円の時には、証拠金維持率は125%です。
50万円÷40万円×100=125%
円高になって純資産が45万円、必要証拠金が39万8000円の時には、証拠金維持率は113.06%です。
45万円÷39万8000円×100=113.06%
この証拠金維持率が一定の値になると、強制的に決済され損失が確定しますが、これを強制ロスカットといいます。ロスカットにより損失はこれ以上拡大することがないので、安全装置とも言えますが、投資家が自分で損切のタイミングを選べないのはデメリットでもあります。
強制ロスカットを避けるためには、口座に資金を追加して純資産を増やすか、部分的に決済して必要証拠金を少なくするか、どちらかの方法があります。
とはいえ、資金の追加は損失の拡大につながりかねないため、判断は慎重にする必要があります。
FX取引は、利益が出た時の効果は大きいのですが、損失も大きくなることに注意が必要です。FXをするなら、まずは低い倍率から始めましょう。
不動産投資
不動産投資もまた、レバレッジの効果がみこめる投資です。
不動産投資とは、賃貸物件などを買って家賃収入を得ることなどで利益を得ます。たとえばワンルームマンションの1室を2500万円で購入し、賃貸に出して家賃を毎月得る、といった方法が考えられます。
この場合、利回り4%の物件なら、年に100万円の収入になります。
しかし、まとまった自己資金がなくても、レバレッジをかければ不動産投資は可能です。
たとえば、自己資金が100万円の場合、残りの2400万円は住宅ローンを組むという方法です。投資物件の利回りが4%であれば、住宅ローンの返済利息が1%でも十分利益は確保できる、という計算です。
一般的に不動産投資では、借入する人の信用力(年収など)や不動産という担保を元に借入れができます。
不動産投資のメリット
そして、不動産投資には、株式投資やFX投資とは異なる点があります。
1.計画的に投資できる
株式投資では株価、やFX投資では為替レートのチェックが重要。どちらも常に値動きをしていますので、一喜一憂してしまいがちです。その点不動産投資では、値動きのスピードはそこまで早くありません。
家賃はいったん決まれば毎月の安定した収入になりますし、住宅ローンの返済金額も毎月決まった額です。計画的に考えることができる投資であると言えるでしょう。
2.長期的な投資ができる
株式投資の信用取引やFX投資では、レバレッジをかけるぶん大きなリターンを期待できますが、損失を出すリスクも大きくなります。そのため、短期的視点で売買する投資スタイルが向いています。
しかし、不動産投資は住宅ローンを組めば返済期間が30年以上になることは珍しくありません。長期的視点での投資ができるので、じっくり取り組む投資スタイルが向いています。
3.団信に加入できる
基本的に、住宅ローンを組むと、団体信用生命保険(=団信)に加入することになります。団信に加入していると、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合に残債がなくなり、物件は残ります。そのため、もしもの時には、物件を残された家族が受け取れるので、生命保険がわりとすることもできるのです。
団信には、死亡時の保障だけではなく、がんなどの病気になった場合も保障の対象とするものもあります。もし、対象の病気になった場合には残債がなくなるので、ローンの返済はなくなり物件は残ります。
療養のために仕事を休みがちになれば、給与などの収入が減ってしまうことも考えられます。そんな時でも、保有している不動産から安定した家賃収入があればとても心強いのではないでしょうか。
不動産投資の注意点
その一方、注意しなければならないこともあります。
1.優良物件に投資する
不動産投資が長期的に成り立つためには、物件価値が下がりにくい優良物件・エリアに投資することが大切です。優良物件とは、ひとことでいって賃貸の入居者に選ばれる物件です。
駅の近く、都心部へのアクセスがいい、買物に困らないなど、実際にそこで暮らすことを考えて物件選びをするとともに、信頼できる業者からのアドバイスを得られるようにしましょう。
2.空室リスクに備える
入居者の入れ替わりがあれば、一時的に空室になることは避けられません。また、すぐに次の入居者が決まればよいのですが、時期によっては間があいてしまうこともあるでしょう。
そのため、ある程度の余裕資金を確保しておく必要があります。また、家賃の相場や内装のトレンドなどもチェックしておくことが大切です。
3.維持管理に備える
物件には、電気や水道の設備の故障が意外とあるものです。その場合にはオーナーが対応することになりますが、自分一人で対応するのは難しいこともあるでしょう。
本業で忙しかったり、体調がすぐれない時もあります。そのため、維持管理を依頼できる業者がいると安心です。
コストはかかりますが、スムーズに対応することができます。
まとめ
レバレッジは、少ない自己資金で利益率を大きくできる、有効的な手段のひとつです。しかし一方で損失のリスクも忘れてはいけません。リスク管理はしっかり行いましょう。