【Z世代のマネー学】信用リスク、カントリーリスクとの付き合い方
信用リスクやカントリーリスクとどう付き合う?
信用リスクやカントリーリスクは往々にして、突発的に発生します。ですから、このリスクを完全にコントロールするのは難しいところがあります。
とはいえ、財務が健全な国や企業であれば、比較的信用リスクは少ないでしょう。政治や経済が安定している国に絞って投資すれば、カントリーリスクも下げられるでしょう。
投資をするときに資産を複数の国や資産に分散しておくことも、リスクを下げるのに役立ちます。
分散投資していれば、そのなかのどこかの国や企業で信用リスク・カントリーリスクが発生したとしても、大損を防ぐことができますし、他の国や企業の資産の値上がりでその損失をカバーできる可能性もあるからです。
また、信用リスクやカントリーリスクの高い投資先への投資金額を減らしたり、投資期間を短くしたりすることでも、リスクを減らせます。
格付け機関の格付けを参考に…ただ過信は禁物
「信用リスクやカントリーリスクがどのくらいあるのか」という判断は、金融のプロでも大変なものです。そこで参考にしたいのが「信用格付け」です。
信用格付けは、元本や利子がきちんと返ってくるかという信用度を、アルファベットや数字で示した指標です。
格付け機関が国や企業の状態を調査し、公表しています。
主な格付け機関には、以下のようなところがあります。
【海外の主な格付け機関】
・ムーディーズ(Moody’s)
・スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)
【日本の格付け機関】
・日本格付投資情報センター(R&I)
・日本格付研究所(JCR)
信用格付けは公開されていますので、国債や社債、株式などを購入する場合に参考にできます。
債券の信用度を表す信用格付け
※数字やプラスマイナスの記号などでさらに細分化される
表:筆者作成
格付け機関によって信用格付けの表記の方法はまちまちですが、AAA(Aaa)が最上位で信用力が高いことを示しています。
一般的にBBB(Baa)以上ならば「投資適格」、つまり投資に適しているとされています。一方、BB(Ba)以下は「投資不適格」といわれ、投機的な意味合いの強い商品とされています。
信用格付けは、利回りとも関係があります。格付けが高いほど利回り(収益の割合)は低くなり、格付けが低いほど利回りが高くなるのです。
格付けの低い債券は、その分信用リスクやカントリーリスクが大きいのですから、利回りを高くして買ってもらおうとしています。投資家の側も、リスクに見合ったリターンがないと投資しない、というわけですね。
国債の信用格付け(S&P・Moody’s)
表:Trading Economicsのデータを元に筆者作成
また、社債についても同様に格付けが行われています。
主な個人向け社債の信用格付けと利回り
表:各社うぇぶサイトより筆者作成
日本の国債(個人向け国債)は毎月募集が行われて発行されていますが、社債は募集が不定期で、購入できる期間も限られています。個人向け国債よりも利回りが高いことから人気で、すぐに販売終了してしまうこともあります。
したがって、購入したい場合はなるべく早く申し込みをするといいでしょう。
もっとも、信用格付けは万能ではありません。
2007年に明らかになった「サブプライムローン問題」では、所得や信用力が低い人(サブプライム層)に貸し出す高金利の住宅ローンを証券化した商品(証券化商品)の格付けが高く評価されていました。
そのため、本来の低い格付けなら買わなかった投資家が証券化商品を購入したのです。
しかし、サブプライム層の人たちが高金利の住宅ローンを返済するのは大変です。やがて住宅ローンの返済が滞るようになると、関連する証券化商品の価格が暴落し、投資家が損失を被りました。
これが世界同時株安、さらには2008年のリーマン・ショック(米国の投資銀行の破綻による金融危機)の悲劇を生んだのです。
ですから、信用格付けはあくまでも参考程度にしておきましょう。投資をする際には、どんな国・企業なのかを確認して、納得の上で投資することをおすすめします。