2022年4月、年金手帳廃止へ。今後の手続きはどう変わる?

2022年4月、年金手帳廃止へ。今後の手続きはどう変わる?
マネーケア

すでに年金手帳を持っている人は、今後どのように取り扱えばよい?

年金手帳には、下記の場合に年金手帳を提出するよう注意事項の記載がありますが、今後はどうなるのでしょうか。

○新たに厚生年金保険や国民年金に加入するとき
○氏名を変更したとき
○年金や一時金の請求をするとき
○年金や一時金についての相談を受けるとき

年金手帳の注意事項
出典:厚生労働省年金局「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項について」より

一つずつ詳しく見ていきましょう。

○新たに厚生年金保険や国民年金に加入するとき

新たに厚生年金に加入するとき※7は、会社が手続きをしてくれますが、最近では年金手帳の提示は必須ではありません。マイナンバーか基礎年金番号のいずれか、どちらでも都合の良い方を利用して良いことになっているからです。(マイナンバーと基礎年金番号が結びついている人の場合)
新たに厚生年金保険や国民年金に加入
出典:日本年金機構より、一部筆者加工

一方、新たに国民年金に加入するときには、年金手帳または基礎年金番号通知書の添付が求められています(2020年9月現在)。年金手帳をお持ちの方は引き続き、年金手帳を使うことになります。
※7:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html

○氏名を変更したとき

厚生年金も国民年金も、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば原則届出は不要とされています。特になにか手続きをしなくても大丈夫な場合がほとんどです。

○年金や一時金の請求をするとき

年金を請求するときにも、年金手帳または基礎年金番号通知書が必要になる場合があります。また、遺族年金や死亡一時金を受け取る場合などには、請求者本人や亡くなった方の年金手帳を提出する必要ことがあります。(2020年12月現在)
もし紛失などでどうしても見つからない場合は、ご本人確認さえできれば手続きは可能なので、手帳がないからと手続きするのをためらう必要はありません。

○年金や一時金についての相談を受けるとき

年金事務所等の窓口で、年金に関する相談をする際は、年金手帳、年金証書または改定通知書など、日本年金機構が送付した基礎年金番号がわかる書類を持参する必要がありますが、もし何もなくても本人確認ができれば相談は可能です。

このように年金手帳は、現時点※8では、新制度への経過措置期間として、基礎年金番号を明らかにする書類として引き続き利用できます。
※8:https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/shingi23-01.pdf

20歳に到達し、新たに公的年金に加入する人はどうなる?

20歳に到達する人に係る国民年金加入手続きについても見直し※9が行われていています。
以前は、20歳に到達する誕生日の前日から数えて14日以内に、国民年金資格取得の届出(国民年金被保険者関係届書(申出書))を自身で市町村に提出しなければなりませんでした。

しかし、2019年10月以降に20歳になった人は、国民年金への加入の手続きが不要となっています。日本年金機構で国民年金の資格取得処理を行うため、加入手続きをしなくても、国民年金に加入したことになるからです。

その後、2週間以内に、日本年金機構から、「国民年金加入のお知らせ」、「国民年金保険料納付書」、「国民年金の加入と保険料のご案内」が届き、別途、年金手帳も送られてくる流れになっています。
年金手帳が廃止となる2022年4月以降は、年金手帳の交付はなくなり、代わりに「基礎年金番号通知書」が送られてくる予定です。つまり、2022年4月以降に20歳になって初めて公的年金に加入する人は年金手帳を持たないことになります。
※9:https://www.nenkin.go.jp/info/johokokai/uneihyogikai/kako/r01/38.files/07.pdf

過去にもあった「基礎年金番号通知書」

実は、過去にも「基礎年金番号通知書」が発行※9されていました。
かつて、国民年金、厚生年金、共済組合の加入者の年金番号はそれぞれ独自に付けられていたのですが、1997年1月から、共通した基礎年金番号が創設されました。
この時点で、既に公的年金に加入していた被保険者には、基礎年金番号が記載された「基礎年金番号通知書」が送付されていたのです。

過去に送付された「基礎年金番号通知書」

過去に送付された「基礎年金番号通知書」
出典:日本年金機構ホームページより

2022年4月以降の新たな「基礎年金番号通知書」はどんなものになるのかまだ決まっていませんが、厚生労働省によると、下記のようイメージのものが検討されているようです。

・年金手帳の代替として年金制度の象徴となるようなシンボリックなもの(色つきの上質紙など)とすること
・手元に丁重に保管してもらうため、名称を「基礎年金番号通知書」とし、大臣印の印影を入れること
・現在、共済年金加入者に送付している「基礎年金番号通知書」との統一を行うこと※10

※9:https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kiso/index.html
※10:https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

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小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 企業で労務、健康・厚生...

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