投資系YouTuberにご用心? 情報を鵜呑みにするのは危険

投資系YouTuberにご用心? 情報を鵜呑みにするのは危険
マネーケア

動画やSNSの情報を鵜呑みにするのは危険!

いうまでもなく、お金を増やしたいならば投資は必要不可欠です。投資スタートのきっかけが動画やSNSであっても、その結果お金が増やせたのであれば、いいと思います。

しかし、動画やSNSの情報を鵜呑みにするのは危険です。実際、筆者も日々さまざまな動画やSNSを見ていますが、中には、頭の中に?マークがたくさんつくような怪しい情報も見られます。ネットの世界は、玉石混淆なのです。チャンネル登録数が多いから正しいとは限りません。

筆者自身も「Money&You TV」というお金に関連した番組をYouTubeで配信していますが、情報が正確であるかどうか、根拠は何かをしっかり明示して制作しています。
そこで、動画やSNSで投資情報を見る場合に気をつけるべきポイントをまとめてご紹介します。

①そもそも、情報が正しいのかチェック

たとえば、ある投資家がSNSで「ここだけの話、新興企業のA社は業界最大手のB社と合併する」などと投稿したとします。もしこれが事実ならば、一般的にはA社の株価が急騰すると考えられます。もちろん、その通りにならない場合もありますが、これを見た人たちは「値上がりする前のA社の株式を買っておけば、正式に合併が発表されたときに儲かる」と思うでしょう。中には、これを信じてA社の株式を買う人もいるかもしれません。

しかし、それこそがこの投資家の思惑かもしれません。おそらく、この投資家は自分が持っているA社の株式を売りたかったのでしょう。もしくは裏で糸を引いている団体がいるのかもしれません。そこで、このような発言をあえてすることで他の人にA社の株式を買ってもらい、株価が上がったところで売り抜けるのです。いわゆる実際にはA社とB社が合併しようがしまいが、この投資家には関係ありませんが、合併すると信じて買った他の人たちは損するかもしれません。

これは少々極端な例ですが、これは「風説の流布」という立派な犯罪行為です。株価などを動かすために、根拠のないうその情報を流すことをいいます。違反した場合は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金と、決して軽くない刑罰が課せられます。

こうした嘘の情報に惑わされないようにするには、複数の情報にあたることです。各社のIR(投資家向け情報)サイト、証券会社の各銘柄の紹介サイト、投資情報のポータルサイトなどには、会社が公表した情報が掲載されています。先の合併のようなニュースであれば、これらのサイトにも同じく掲載されているはずです。こういったところにも同じように合併のニュースが出てはじめて、信頼していい情報となります。

なお、鵜呑みにした情報を、SNSを使って安易に拡散しないことも大切です。被害者を増やすことになりかねませんし、拡散した人も同じように罰せられる可能性があります。

②投資の「儲けた実績」を信じない

「株式投資で○億円稼いだ」「FXのスキャルピング(ごく短時間の取引)で1日100万円儲けた」など、これまでの儲けた実績を声高に掲げる投資家がいます。確かに、これまで稼げていない人の話より、大儲けした投資家の話のほうがすごそうですし、信じたくなってしまうかもしれません。実際、超有名投資家のつぶやきによって、株価が動くこともあるのです。しかし、これもまた危険です。

果たして、本当にその投資家はそれだけの金額を稼いだのでしょうか。ただ目立ちたいがために、本人がそう言っているだけかもしれません。儲けたことを信じてもらうために、取引画面や銀行通帳の写真などを載せている投資家もいますが、これも本当に自分のものかわかりませんし、パソコンなどで合成して作った画像かもしれません。

それに、仮にこれまで本当にそれだけ稼いでいたとしても、仮想通貨のような「まぐれ」や「たまたま」であったり、昔の話でマーケットが今と全く異なっていたり、何よりもその投資家がこれからも絶対に儲かるという保証はどこにもありません
もちろん、投資と真摯に向き合って、実績を伸ばしている人も多数いるでしょう。しかし、だからといって信じてしまうと、大きく損をする可能性があるので、十分注意しましょう。

③チャンネル登録者やフォロワーの多さに惑わされない

YouTubeならばチャンネル登録数、TwitterやInstagramならばフォロワー数が、その人の価値を可視化する数字のように使われることがあります。「儲けた実績」と似ていますが、こちらも多ければ多いほど、たくさんの人に支持されているように感じてしまいます。発言にも箔がつくと思われるかもしれません。

しかし、チャンネル登録やフォロワーは、購入できることをご存知でしょうか。これまたネットで少し検索するだけで「チャンネル登録や再生回数を増やします」「フォロワー+1000人」などの案内を見つけることができます。実際に買っている人がいるかは、わかりません。しかし、これらの数字は、意図的に増やすことができるのです。

動画やSNSを見るときには、単にこうした数だけでなく、どんな人が発信しているのかをチェックしましょう。肩書き、経歴、他のメディアなどへの掲載実績などを調べて、「真のファン」がチャンネル登録をしたり、フォロワーとなったりしているのかを考えることが大切です。

ただ、肩書き・経歴だけにつられてしまうのも注意が必要です。投資系YouTuberの中には、最もらしい経歴・肩書きで、ただ日々の相場の上下にコメントしているだけの人もいます。

④高額な情報商材やセミナー・オンラインサロンなどへの勧誘に注意

「1日数分の作業で月、数百万円!」「○万円を○億円にする投資」…。お金を儲けるノウハウを教えると称して、高額な情報商材を購入させたり、オンラインサロンへの勧誘をしたりする事例があります。「こんなのにだまされるわけないだろう」と思うかもしれませんが、甘い言葉に負けてひっかかる人が後を立ちません。「億万長者になってほしいあなただけに特別に教えます」などと言われると、つい心が動かされてしまうのでしょう。
つい気になって問い合わせたところ、次々に勧誘されて高額な契約を迫られたり、お金を支払った後で逃げられてしまったりしたという相談が、国民生活センターに相次いでいます。

そもそも、本当にそんなノウハウがあるのであれば、自分で実践して億万長者になればいいのです。それができないから、情報商材やオンラインサロンの形で販売して、利益を得ようとしていることに気付いてください。

投資はあくまで「自己責任」

投資には「自己責任の原則」があります。投資は、自分できちんと理解して、自分自身で責任をもって判断して行わなければならないというものです。お金が増えるのも、減るのも、自己責任です。動画やSNSの情報を鵜呑みにして投資をして、結果として損をしても、その損を動画やSNSの発信者が埋め合わせてくれるわけではないのです。

ですから、きちんと判断できるように勉強することが大切です。投資系YouTuberの動画や、Twitter・Instagramの有名投資家の発言も、もちろん勉強の材料になるでしょう。しかし、お話ししてきたように、安易に信じ込んでしまうのは危険です。本当にそれが正しいのか、よく吟味したうえで、自分で判断できるようになることが大切でしょう。

なお、万が一「詐欺などの被害にあった」という場合は、国民生活センターに問い合わせ、指示に従うことをおすすめします。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP) 頼藤 太希

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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