【最新!暮らしのお金の実態調査】平均年収では足りない人が大多数
「moneliy(マネリー)」では2020年9月に暮らしにかかわるお金についてのアンケート調査を実施しました。
今回は、今の生活費に満足している人がどれくらいいるのか調査結果を解説していきます。
このアンケート調査は株式会社インヴァランスが2020年9月16日から9月30日にかけて、プラットフォームサービス『モニプラ』にて、20代から60代のmoneliyファンユーザー3,479名を対象に実施したものです。
回答者の内訳は男性1269名、女性2220名。回答者の年代は40代が最も多く、次いで30代、50代、20代、60代以上の順でした。
今の暮らしでお金に満足している人は24%しかいない
「今の暮らしに金銭的に満足しているかどうか」という質問の回答を軸に、アンケート結果から年代や暮らしによって回答に傾向があるのかどうかみていきます。
今の暮らしに金銭的に満足していますか?
図:筆者作成
3,479名の対象者に「今の暮らしに金銭的に満足しているかどうか」質問したところ、うち842名が満足していると回答し、満足していないと回答した人数は2,637名でした。満足している人の割合は全回答者の24%で、全体の1/4にも満たない数です。年代別に傾向があるのか見ていきましょう。
満足していると回答した割合が高かったのは60代以上
今の暮らしのお金に対する満足値年代別傾向
図:筆者作成
年代別に回答を分析すると、今の暮らしに金銭的に満足している割合が高かったのは、60代以上の層で、36%でした。金銭的に満足と回答した理由として考えられることは2つ、子育てがひと段落していることと、家のローンが終了していることではないでしょうか。
子育てがひと段落していることで、教育費の出費がなくて済みます。子どもが自立している場合は食費などの生活費も必要ありません。また、年齢的に働き盛りの頃に組んだローンの支払いが終了しているケースが多く、住居費の固定費が抑えられるので暮らしにゆとりができる場合もあるでしょう。
2019年に実発表された厚生労働省の世論調査によると、近年は、60歳以降も仕事をしたいと希望するシニア層が多く、年金を受給できる年齢に達していてもある程度自身で働き、蓄えている人も多いようです。
働いている世代では40代、20代の満足度が低い
気になるのは20代と40代の満足度の低さです。20代~30代を働き盛り、40代~50代を管理職世代とするならば、20代は仕事を軌道にのせるため努力する時期、40代は働き盛り世代から管理職世代へのターニングエイジと言えるでしょう。
収入面では、特に20代前半は社会人生活がまだ不安定で、収入が安定する前です。40代は管理職になりたて世代で、例えば昇進することで管理職手当が支給されるようになり、代わりにこれまで支給されていた時間外労働手当が出なくなるなど給料体系が変わるタイミングでもあります。
支出面では、20代は結婚を意識し、世帯を持つために資金や貯蓄が必要と考える人が増える年代であることも一因でしょう。この背景には、日本の平均結婚年齢が男性31.1歳、女性29.4歳であることが挙げられます。
40代には親世代が多く、子どもの教育費用がかさむ年代です。こういったことから出費が多く、金銭的な満足度が低いことが考えられます。
収入によって生活費の満足度は違うの?
さて、気になるのは収入に比例して生活費の満足度が上がるのか、というポイント。また、一体いくらあれば概ね満足と感じられるのか考えていきます。
世帯年収別に分析!世帯年収が高いほど満足値アップ
世帯年収別の満足値傾向
図:筆者作成
回答者3,479名の世帯年収を100万円単位に分けて満足度との関係を分析すると、世帯年収1,000万円以上の層で、今の暮らしに金銭的に満足していると回答した人が53%を占め、最も高い割合となりました。今の暮らしに金銭的に満足していないと回答した人の割合が高い層は世帯年収100万円以下の89%となっており、世帯年収が上がるごとに満足と回答した人が増えていく傾向が見てとれます。
転職サイト『doda(デューダ)』の調査によると2019年の平均年収は408万円だそうです。この金額以上である世帯年収400万円~500万円の層でも、金銭的に満足していないと回答した人は78%を占め、平均的な年収を得ていても十分ではないと感じている人が多いことが分かります。
今の暮らしに金銭的に満足していると回答した層の傾向をグラフで見てみましょう。
満足値と年収の関係に年齢ごとの傾向はある?
【20代】 今の暮らしに満足している人の年収別傾向
【30代】 今の暮らしに満足している人の年収別傾向
【40代】 今の暮らしに満足している人の年収別傾向
【50代】 今の暮らしに満足している人の年収別傾向
【60代以上】 今の暮らしに満足している人の年収別傾向
図:筆者作成
次に、年代別に年収と満足値の関係を分析してみましょう。今回のアンケートで「今の暮らしに金銭的に満足している」と回答した人が全体の24%、世帯年収が上がるごとに満足している数値が増える傾向にあることをふまえ、満足と回答した人が24%以上の世帯年収をひとつのポイントとして考えていきます。
働いている世代(20代~50代)を対象に、この満足と回答した人の割合24%以上の世帯年収をみると、20代で400万円以上、30代では500万円以上、40代で600万円以上、50代で500万円以上、60代以上で300万円以上でした。
また、先ほどのdodaの調査によると20代の平均年収は345万円、30代の平均年収は442万円、40代の平均年収は507万円、50代の平均年収は622万円です。こちらもベンチマークとして考慮すると、50代以外は世帯年収が平均年収以上でも、満足と感じている人は24%以下で、少ないという傾向が掴めました。
50代についても、平均年収ゾーンで満足と感じている人は25%以下です。このことから、暮らしに必要なお金(理想年収)と実態が乖離していることが伺えます。
一方、60代以上については前章で、「満足度が最も高かった」と分析しましたが、これは前章で解説した環境要因にプラスして求める年収がほかの年代と比較して低いことも要因として挙げられそうです。
前章で満足度が最も低かった40代については求める年収が高い傾向があることが分かります。それだけ生活費として必要なお金が多い、ということの現れでしょう。