投資しても資産が増えない5つのNG行動
iDeCoやつみたてNISAなど税制優遇を使って資産運用を始める人が増えました。しかし、資産運用をしても必ず増えるとは限りません。経済の状況でマイナスになることもあります。しかし、そんな中でも利益を出している人がいます。
投資で資産を増やせる人と、増えない人には決定的な違いがあります。
今回は、投資で資産が増えない人がやってしまいがちな5つのNG行動について解説します。
NG行動その1 自分のリスク許容度をわかっていない
投資を始めたばかりの人に多いのが、自分はリスクに対してどのくらい対応できるのか(リスク許容度)を知らない事です。
投資におけるリスクとは、資産が減ることだけを意味しているのではありません。今ある資産がどのくらい変化するのかをリスクというのです。資産の変化が少なければリスクは低いと考えますし、変化が大きければリスクが高いと考えます。
例えば、自分の資産が1ヶ月の間に半分になるかもしれない可能性のある商品で運用して、現実に起こったとしてどういう対応をするのか。「投資に回したのは一部の資産だ」、「長期運用する予定なので現在のマイナスは問題ない」と落ち着いた対応ができるのであれば、リスクを取ることはできるでしょう。しかし、半分になってしまって毎日落ち着かず、不安で不安でたまらなくて手放してしまうというのであればリスクは取らない方がいいでしょう。増える可能性も、減る可能性も同じように受け止められるくらいのリスクの商品を選ぶようにしましょう。
資産が大きく変化することを望んでいないのに、選択する金融商品のリスクが高めであれば、資産の値動きが激しくなります。増えたと思ったら減ってしまったり、減ってしまって不安になって売却したりします。これでは、増やそうと思って始めた資産運用も結果的に資産を減らしてしまうことになりかねません。
金融商品は値動きがあり、毎日価格が変わるため自分の資産も増減します。その増減に耐えられないということは、自分のリスク許容度以上のリスクをとっていることになります。自分はどのくらいの値動きならば静観していられるのか理解するようにしましょう。
全国銀行協会のウェブサイト*では、リスク許容度の診断テストを公開しています。こうしたテストでリスク許容度を診断してみるのもいいでしょう。
*:一般社団法人全国銀行協会「あなたのリスク許容度診断テスト」
NG行動その2 短期で結果を得ようとする
投資とは時間をかけて成長する経済や企業にお金を投下することです。例えるなら、タネをまき、芽が出て大きく育って収穫を得るような物。最低でも、5年、10年はしっかりと育ててきたいところです。
時期が早くまだ実がなっていない時や、実が青くてかたい時期では収穫しても美味しくないのと同じで、投資では収穫ができるようになるまで待つ覚悟も必要です。しかし、じっくりと増えるのを待つことができず、短期で結果がでないと選んでいる商品がよくないのではないか、もっと他に増える商品があるのではないと継続することをやめてしまう人もいます。
継続していれば増やすことができたかもしれないのに、すぐに結果を求めて売却を繰り返す…。これではなかなか増えてはいきません。
例えば、日経平均株価の2005年から2019年の最安値の推移を見てみましょう。2005年には約11,000円でしたが、2009年に約7,000円だったことがわかります。しかし、10年後の2019年をみると2万円近くまで上昇しています。
2005年時点でタネをまきはじめても、2009年に慌てて売却してしまっていたら、資産は減っていたでしょう。ですが、最初から長期のスタンスを持って、10年20年と投資するつもりだったなら、じっくりと時間をかけることで資産を増やすことができたはずです。ですから、短期で結果を求めるのではなく、長期でじっくり結果を待つことが重要です。
日経平均最安値の推移
参考:日経平均プロフィル:日経平均年次データより筆者作成
NG行動その3 投資のルールを守れない
長期投資を目指して投資を始めても、結果が出るまで時間がかかることもあります。そのために、途中で長期投資のルールを変えてしまう人がいます。なかなか思うような結果が出ない焦りから、運用商品を売却したり、変更したりします。
しかし、長期投資の複利効果は時間をかければかけるほど大きくなります。長期投資というルールで始めたのであれば、そのルールはしっかりと守るようにしましょう。
短期で運用する方がいいのか、やはり長期投資がいいのかなどどちらがいいのかわからず迷ってしまっているうちに、時間は過ぎていきます。せっかくの長期投資のチャンスを失ってしまうかもしれません。負けない投資のルール、長期投資を守りましょう。
以下は、毎月1万円ずつ、30年間、年利3%でつみたてた場合の運用成果です。運用収益は、はじめは少ないですが、30年後には360万円の元本が222.7万円の利益を生み出しています。
積立金額と運用成果
資料:金融庁「資産運用シミュレーション」より