会社の制度、使う?使わない? 使うべきお得な制度はコレ!
お勤めの会社には、どんな福利厚生の制度がありますか? 会社には、従業員に満足してもらい、さらに仕事に打ち込んでもらうための福利厚生の制度がいろいろあります。とはいえ、中にはぜひ使うべきものもあれば、無理して使わなくていいものも。
そこで今回は、会社の代表的な福利厚生の制度と、使うべきか否かのポイントを解説します。
会社の福利厚生ってなに?
福利厚生は、会社で働くことで得られる給与とは別に支給される報酬です。
いちばん身近な福利厚生は、会社で加入する社会保険でしょう。会社で働くことで、医療保険・介護保険・雇用保険・労災保険などに加入するため、万が一の病気・災害・失業などの際に手当てを受けることができます。また、老後に受け取る厚生年金も福利厚生のひとつ。これらの福利厚生は、会社が所定の要件を満たしていれば必ず実施しなければならないという義務があります。
一方、福利厚生にはこのほかに、会社が行う義務のないものもあり、「法定外福利厚生」と呼ばれます。
会社は給与以外の待遇をよくすることで、優秀な社員を採用したり、社員のやる気をアップさせたり、離職率を下げたりすることを目指しています。実際、新入社員が会社を選ぶ際、仕事内容や給与面だけでなく、福利厚生も重視されています。給与だけしかない会社と、給与の他にさまざまな待遇が用意されている会社なら、後者の方が手厚い感じがしますし、社員を大事にしてくれる会社のように思えますよね。
法定外福利厚生の種類は、会社によってさまざまで、会社ごとに独自に制度が決められます。会社に制度があれば使えますが、ない場合は使えません。一度、勤務先の採用ページや総務部などにどんな制度が用意されているのか、確認してみましょう。
会社の福利厚生の制度、使うべき?
数ある会社の福利厚生のなかから、代表的な福利厚生の制度を5つ紹介します。
①財形貯蓄
財形貯蓄は「勤労者財産形成貯蓄制度」の略。会社が毎月の給料やボーナスなどからお金を天引きし、積み立ててくれる制度です。お金を貯める基本は、お金を使って余った残りを貯める「後から貯蓄」ではなく、先に貯蓄分を取り分ける「先取り貯蓄」です。財形貯蓄は、先取り貯蓄が自然にできる制度というわけです。
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があります。
財形貯蓄の3つの制度
表:筆者作成
一般財形貯蓄は、貯蓄したお金をどのような目的で利用しても構わない制度です。
原則として、3年以上積み立てるルールになっていますが、積立開始から1年経てば引き出すことができます。引き出すには会社での手続きや上司の印鑑などが必要になります。銀行の普通預金のように簡単には引き出せませんが、お金を貯めるためにはかえって好都合かもしれません。
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、老後に受け取る年金や住宅購入・増改築のためにお金を貯める制度です。
こちらは、2つの制度を合わせて元本550万円までの利息が非課税にできます。現状、利息はほとんどつきませんが、それでも非課税になる分はお得です。
自分の意思にかかわらず半ば強制的にお金が貯められるいい制度なので、ぜひ利用したほうがいいのですが、勤め先の会社が財形貯蓄制度を導入していないと、利用できません。独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における退職金等の状況や財形貯蓄の活用状況に関する実態調査(企業調査)」によると、2019年調査時点の財形貯蓄制度の導入率は35.2%(3つの制度のうち1つでも導入している会社の割合)。従業員規模の大きな会社ほど導入率が高いそうです。ぜひ、勤め先にあるかチェックしてみてください。
②社内預金制度
銀行の普通預金の金利は年0.001%と非常に低い状態。そんな時代にあって、金利が年0.5%受け取れたら嬉しいですよね。社内預金制度があれば、それができるかもしれません。
社内預金制度も、財形貯蓄と同じく毎月の給与やボーナスから天引きする制度です。そのお金を会社が預金として管理し、従業員からの申請があればお金を払い出す仕組みになっています。
社内預金の金利は、法律で年0.5%以上にすることと定められています。単純にいって、普通預金の500倍お得です。定期預金でも、年0.5%などという商品はまず見かけません。
それでいて、財形貯蓄制度と同様に給与天引きでお金が強制的に貯められますし、途中の出金も自由です。
とはいえ、社内預金制度を用意している会社は減少傾向にあります。先の調査によると、社内預金制度を導入していると回答した会社はわずか5.6%となっています。もしあれば、優先して活用すべきでしょう。
ただし、社内預金はペイオフ(預金保険制度)の対象外となっています。銀行の普通預金や定期預金では、万が一銀行が倒産しても、1000万円とその利息分までは確実に戻ってきます。しかし、社内預金の場合は、会社が倒産した場合にお金が一部戻ってこないこともあります。考えたくないかもしれませんが、自分の勤め先がなくなるなどといった場合のことを、理解をしておくことが必要です。