投資を始める前に決めておくべきリスク許容度とは?

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投資を始める時、商品探しの前にやっていただきたいのが「リスク許容度」の確認です。投資を始める前にリスク許容度を知ることで、気持ちに余裕をもって投資を始めることができます。
今回は投資を始める際に決めておいていただきたいリスク許容度について解説いたします。

リスク許容度とは?

リスク許容度とは、資産運用で耐えることができる価格変動幅、つまりリスクの限度をいいます。投資資金がマイナスになった場合でも、生活に影響を与えないか? 気分的にもどこまで耐えられるか?というものです。

リスク許容度は年齢、保有資産、収入、支出、家族状況、性格によっても異なります。

年齢でリスク許容度を計ると、若い世代はリスク許容度が大きくなります。ある時期に投資資金がマイナスになっても、プラスになるのを待つための時間があるからです。

保有資産や収入で計る場合、資産や収入の金額が大きいほど、投資に多くのお金を回せるのでリスク許容度は大きくなります。

また、性格もリスク許容度を計る上で大切な要素になります。投資を始めて投資資金の値動きが気になり、夜も寝られなくなり体調を崩してしまう、というようなことになると、リスクに耐えられないと判断していいかと思いますのでリスク許容度は小さくなります。

リスク許容度を投資を始める時に定めておく理由

リスク許容度を決めておく理由は、目先の値動きに一喜一憂せず、気持ちに余裕をもって投資資金が増えるのを待てるようにするためです。このくらいのマイナスなら大丈夫、とあらかじめ分かっていれば、慌てずにすみます。

投資を成功させる秘訣ともいえる方法に、長期投資があります。長期、つまり待つことができる投資ですね。
投資は短い期間で勝つことを狙うと、勝てばいいのですが、負けた時にすぐに取り返せないデメリットがあります。

しかし、10年以上の長い期間をかけて経済成長の成果を期待しながらお金を育てる気持ちで付き合うと、値動きをしながらも、長期的に見ればプラスになり、負けにくい運用が期待できるようになります。

リスク許容度を定めておくことは、無理なく10年以上もの長期間、投資に回していい金額を知ることにもなります。

例えば、今、300万円を持っていて投資を始めたいと思っている。でも10年以内に車の購入や結婚資金等で300万円は確保しておきたい、との思いもある場合を考えてみましょう。
そうすると、300万円の資金を減らすわけにはいきませんから、筆者ですとこの300万円のお金のリスク許容度はゼロと判断して、元本割れする可能性の低い預貯金に預けておくことを提案します。

しかし、360万円持っているなら、20%値下がりするかもしれないリスクをとりつつ、その分リターンを期待できる投資をしてもいいと考えられます。
とは言え、実際には360万円が300万円になってしまったら悲しいですよね。

それなら、毎月定期的に入ってくる給与等の収入があれば、その中から無理のない金額で投資信託への積立投資がいいでしょう。

毎月の積立額はあくまでも無理のない金額です。無理のない金額とはその積立資金には10年以上手を付けなくても生活していける、と思えるだけの余裕資金です。
10年以内にこの積立資金が大きく値下がりしてしまっては生活していけなくなる、というのであればリスク許容度が小さい、つまり耐えられないお金を投資に回していることになります。

上昇、下落、どのような%が理想?

では、どの程度の値動きの幅にしておくのが理想的なのでしょうか。
それは、資産が必要になる目的と時期によって変わります。

教育資金のように確実に用意しなければならないお金なら、リスク許容度は小さくなりますし、必要になるのは3年後、という場合であればさらに小さくなります。
他の保有資産の状況にもよりますが、5%の価格変動幅でも耐えられないかもしれませんね。

あるいは旅行資金で、運用がうまくいったら海外旅行、そこまでの成果がなければ国内旅行にすればいい、というお金であれば、リスク許容度は大きくなります。
生活費がしっかり確保されているのが前提ですが、30%程度の価格変動幅でも耐えられそうです。

ハイリスク・ハイリターンといわれるように、大きな利益を期待できる金融商品は、大きく値下がりする可能性も大いにあると思っておいてください。

投資は10年以上待てるリスク許容度の大きなお金で、とお伝えしましたが、50%といった大きな価格変動幅で上昇、下落を繰り返すようでは、気持ちに余裕をもって待ってもいられないかもしれませんね。
しかし、投資先を株式だけに絞り込んだ場合には、50%くらいの上下幅は覚悟しておいていいかと思います。

まとめ

リスク許容度を定めることは、投資を始めるかどうかの判断に役立つだけではなく、資産運用のスタイルを決める時にも効果的です。
例えば、性格的にリスク許容度が小さい場合には、元本割れリスクの小さな預貯金をメインとして、リスクのある投資を控えめにした運用スタイルから始めよう、という判断がつき、無理なく投資を始めることができます。

気持ちに余裕をもった長期投資のために、リスク許容度は投資を始める前に、必ず確認しておくようにしましょう。

小林 裕子

ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士 2008年FP相談業務開始。 2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切...

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