投資に興味はあるがリテラシーが低い人はどうするべきか

マネーケア

老後のための資産形成は、今や20代30代の若者にとって、最も大きな関心事と言っても過言ではありません。しかしその多くの相談者が「貯金以外、経験がないので何から始めればよいのか分からない」と、悩んでいます。

投資に必要な金融リテラシー(=知識・判断力)とは

日本では幼少期の義務教育期間、投資教育を行っていません。
そのため、「投資」という言葉はニュースで知らされる詐欺事件ぐらいでしか耳にしない、または資産家だけの特権であると無意識のうちに思いこんでいるケースが多いようです。その結果、投資が一般家庭の人からは遠ざかっているのだと、筆者は想像します。

投資という言葉が出ると、未経験者は明確な理由もなく、身構えてしまうかもしれませんが、その必要はありません。必要なリテラシーは、それほど大層なものでもないのです。

初心者に最低限必要な知識は、
l 利益を出す可能性は、同じ分損失を被る可能性がある
l 出資すれば必ず儲かる、という商品は、存在しない
l 長期・積立の投資は初心者向き

この3つでよいと思います。知識があれば、その場の感情に流されて間違った判断をすることも避けられます。
よく「友人・親戚・先輩から誘われて…」とマルチ商法などで騙される話がありますが、お金を増やしたいという欲を、安直に解決できるなどと、絶対に思わないことです。

多くのケースでは、「お金を増やしたい」という欲や、「チャンスを生かさなければもったいない、乗り遅れる」という焦り=感情が、正しい物事の判断を邪魔します。
その投資がどういった状況下で利益が発生するのか、損失が発生するのか、大まかにでも理解をし、「絶対」という言葉は投資の世界においては無いのだと、肝に銘じるのです。

初心者にオススメの投資方法は、長期・積立

読者の世代のような、「これからの人生、数十年もの時間がある」初心者には、長期で運用することをおススメします。毎月1万~2万円ぐらいの金額で、積立をしながら運用する投資方法がよいでしょう。
長期・積立は、一度に大きな金額を支払うのではなく、毎月、毎週などコンスタントに買い続ける手法です。買い付け時期を分散して行うので、高値掴みを避ける事ができますし、底値を狙う様な、初心者に難しいテクニックも不要です。
運用期間は長期ですので、日々変動する市場や政治の情勢に、気をもむ必要もありません。

代表的な制度として、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)があります。
いずれも長期投資を目的とした制度になっているので、目先の評価額に一喜一憂する必要がありません。
じっくり時間をかけて運用し、老後のための資産を増やす目的のものです。

最初はよく分からなくても、運用成果や報告書を読み込んでいけば、市場の動向と合わせて気づく事があったり、今まで気にしなかった指数を毎日チェックするようになったりします。
そうすれば、長期運用以外に、短期での運用も初めてみようという気になって、また新たな楽しみが生まれたりするものです。

金融リテラシーを高めるには、お勉強より経験すること

相談者の中には、「先生、今度マネーセミナーに行くのですが…料金が20万円です、どう思いますか?」と、かなり意欲的な人がいるのですが、答えは「ノー」です。

20万円出すのであれば、20万円分の株式でも買いなさいと、提言します。
金融リテラシーを高めるには、確かにある程度のお勉強は必要ですが、大金を払って知る知識よりも、初心者は経験を積むことを優先するべきです。

それでも経験をする前に、やはり知識を積みたいというのであれば、数千円で販売されている書籍や、インターネットからでも得ることができます。
星の数ほどある情報の中で、何を取り入れるかは結局自分で決めるものですが、ひとつのセミナー主催者に20万円を払うくらいなら、1万円×20人の意見を聞くほうがよい、という意味です。

そもそも世の中の投資に「正解」など存在しないのですから、一番自分に「合った」手法や商品を探す事です。それは、一つの情報源から得るのではなく、多数の、時には異なる意見を聞き、自分の中で何かしらの結論を出す勇気が必要です。

まとめ

高額なセミナーに申し込むのは、「ある程度のお金をかけたら、知識は身に付く」と思っているからではないでしょうか。安直な考えでは、知識もお金も身に付きません。
橋をたたく事にいくらお金をかけても、それらを回収するすべは、やはり経験をしなければならないのです。
少しの知識と少しの金額から初めて、失敗も肥やしにして糧とする方法を、筆者はおススメしますよ。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中...

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