読書の秋、これからの時代を生きるために読むべき本をFPが3冊厳選

マネーケア

記録的な猛暑が続いたこの夏も、ようやく秋の気配が漂うこの頃・・・食欲の秋、スポーツの秋とさまざまですが、筆者はズバリ「読書の秋」です。
今回は筆者が選んだお金にまつわる良本3冊を、ご紹介します。

戦後経済史―私たちはどこで間違えたのか(東洋経済新聞社)野口悠紀雄

経済学者野口氏が提唱する、「1940年体制」を分かりやすく掘り下げる本書は、冒頭に年表が記載されています。本サイト記事の読者層から見ると、皆さんのご両親が生まれる(もしくは生まれる前)から逆上らなければなりませんが、両親が何歳のころに、どのような経済の動きがあったのかを照らし合わせるだけでも、その時代を生きた人ならではの経済に関する価値観を、感じる事ができます。

筆者はよく、投資初心者に「直接金融」と「間接金融」の違いを説明するのですが、今の20代・30代の相談者は、銀行を通した間接金融が当然のごとくすべてだと、思い込んでいる人が少なくありません。
世の中のお金の流れや、現在の金融機関・金融にまつわる法律の成り立ちなど、未来を考える上で重要な「知るべきこと」を学べる一冊です。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方(幻冬舎)佐藤航陽

出版されてすぐに購入し、一気に読んだ本です。IT企業の株式会社メタップス創業者佐藤氏の著書になります。日ごろのFP業務をしていると相談者の多くは、「お金」について「増やしたい(減らしたくない)」「将来のためにとっておきたい」という意向だけで、お金の存在そのものについての意義や、今後お金というものがどう変化するのかを考えるという人に、出会ったことはありません。

筆者が幼いころ、母から何度も聞かされてきたことですが、「お金は目的にしてはいけない、お金は手段なんだよ」というフレーズがありました。当時さっぱり意味は分かりませんでしたが、今ではよく分かります。
佐藤氏も本書の中で「お金は単なる道具である」と表しています。

学校などの教育現場で、若い年代の人にこそ触れて欲しい、根本的に「お金とは」を考える1冊です。

10年後の仕事図鑑(SBクリエイティブ)堀江貴文×落合陽一

筆者はホリエモン(堀江氏)好きなので、とりあえず彼の著書は目を通します。筆者の中で「良本」という定義は、まず「分かりやすいこと」、そして「子供に読ませたいか」となるのですが、まさに今、子供から大人へと変化するわが子には、読ませたい1冊です。

労働対価としてお給料をもらう事の繰り返しに20代で飽きてしまった筆者ですが、飽きる以上に危機感を感じていました。
代打がいる仕事を続ける以上、今もこの危機感は消えません。指名され続ける存在にならなければと思う日々ですが、筆者の畑(金融業界)はAI化の波に最も「食われる業種」であると自覚しています。

相談者の将来の資産計画をたてることも仕事のひとつのFPにとって、言ってはいけないことかもしれませんが「将来を考えるなど無駄だ」という堀江氏の言葉は、実は同感です。

決して言葉の表面だけを切り取らず、これからを楽しむための1冊にして欲しいと思います。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中...

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