仮想通貨モネロ、ハードフォークで取引手数料97%減
2018年10月18日に行われた仮想通貨モネロのハードフォークで、同通貨の取引手数料が60セント(10月現在のレートで約70円相当、以下の円表記も10月のレートで概算)からわずか2セント(約2円)に減少しました。割合で言うと97%の手数料削減になります。2017年10月~2018年10月の年間チャートでも、モネロの手数料は史上最安値になっています。
モネロの開発者は、今回のハードフォークによって取引手数料が95%以上削減されると想定していましたが、狙い通りの成果が上がったようです。モネロの主任開発者であるRicardo Spagni氏はツイッターに「モネロ(の手数料)は不当なほど安くなっています」と投稿しています。
この取引手数料削減により、少額決済分野でのモネロの活用も期待されています。
「Monero 0.13.0 Beryllium Bullet」と呼ばれる今回のハードフォークでは、「Bulletproofs」というゼロ知識証明技術が新たに導入されました。この技術は、モネロ取引の匿名性を向上しつつ、取引コストを削減するためのものです。
このハードフォークでは、プライバシー向上や取引コストの削減、取引の迅速化に加え、モネロ専用のASICマイナー(マイニングに特化した集積回路を搭載した機器)への対抗策も導入されました。モネロの開発陣はASICマイナーによるマイニングの寡占化および中央集権化を以前から問題視しており、2018年4月にも、これに対抗するハードフォークを行っていました。
仮想通貨市場全体の低迷を受け、モネロの価格は2017年12月に記録した史上最高値の約460ドル(約5万2,000円)から約105ドル(約1万2,000円)まで、7割近く下落しています。しかし、匿名性の高いモネロは、プライバシーを重視する人々の間で高い人気を誇っています。
一方で、クリプトジャッキング(ウェブブラウザを通じ、閲覧者に無断で仮想通貨をマイニングする行為)やマネーロンダリングなどの不法行為にモネロが使われていることで、規制当局から懸念の声も上がっています。
日本では、仮想通貨取引所のコインチェックでモネロが取引されていましたが、金融庁が匿名通貨の取引を問題視していることなどを受け、2018年6月に取扱いが終了しています。