年収の壁は今や5つに!損をしない働き方とは
パート収入がある主婦(主夫)が配偶者の扶養に入っていれば、税金と社会保険料の支払いはかかりません。
しかし、税金と社会保険の扶養に入る条件は違っていて、社会保険料はかからないが税金はかかるというケースもあり、仕組みは複雑です。
一定の収入ラインを超えたら、税金や社会保険料がかかるラインを壁と呼んでいます。
今回は、5つの壁について、わかりやすく解説します。
年収の壁は、税金・社会保険料がかかるラインの5つ
税金(所得税・住民税)の壁は、100、103、150万円です。
社会保険の壁は106、130万円です。
100万円の壁
年収100万円は、住民税がかからないパート収入の上限です。
上限額は、住んでいる市区町村によって多少の幅があり、基本的には年収93万~100万円になります。
住民税は、収入額に応じた所得割と、住民にかかる均等割の2つからできていて、税額は年収の10%。年収100万円まで住民税が非課税になる自治体の場合、年収100万円以下であれば、所得割も均等割もかかりません。
103万円の壁
年収103万円を超えると、所得税を支払う必要があります。
所得税がかかるのは103万円を超えた分について。税率は所得に応じて5~45%*1ですが、所得金額が195万円以下なら税率は5%ですから、それほど大きな負担にはならないでしょう。
ただし、2017年までは103万円は夫(妻)の扶養に入れるかどうかの壁でした。
その後の税制改正で103万円は扶養の壁ではなくなりましたが、夫(妻)の勤務先によっては、「扶養手当」などの制度の支給条件が年収103万円以下になっている場合があります。
夫(妻)の勤務先の制度も要注意です。
*1:国税庁「所得税の税率」
106万円の壁
年収が106万円、つまり月の収入が8万8000円を超える場合、勤務先によっては社会保険に加入する必要があります。
社会保険に加入する条件は、勤務先の従業員が501人以上であることや、勤務日数や時間などですが、勤務先によって従業員数が少なくても社会保険に加入することがあります。
社会保険に加入することになれば、社会保険料が毎月の給与から差引かれ、手取りが減ることになります。社会保険の加入要件がどうなっているか、勤務先に尋ねてみるとよいでしょう。
130万円の壁
収入が130万円を超えると、夫(妻)の社会保険の扶養からはずれることになります。
106万円の壁の条件にはあてはまらず、106万円を超える年収でも夫(妻)の扶養に入り、自分では社会保険に加入していなかった人も、130万円を超えるともれなく自分で加入することになります。
もし、勤務先に社会保険の制度がなければ、自分で国民年金と国民健康保険の加入手続きをしなくてはなりません。加入手続きは住んでいる自治体の窓口(市役所など)で行います。忘れていると、将来の年金受取り金額が減ったり、病気やケガで病院に行く時に困ったりしますので、忘れないようにしましょう。
130万円を超える場合は、まずは勤務先の社会保険に加入できるか尋ねます。
社会保険なら保険料は労使折半と言って、勤務先も支払ってくれるのでおトクです。
150万円の壁
年収150万円までなら、夫(妻)が配偶者控除(または配偶者特別控除)*2によって38万円の所得控除が受けられて、税金を安くすることができます。
しかし、150万円を超えると控除額が減るので、夫(妻)の手取りが減り、家計全体としての収入が減ってしまう場合もあります。
ただし、夫(妻)の給与収入が1220万円を超えると、配偶者特別控除を受けられません。控除を受けられるかどうかは、自分の年収だけではなく、夫(妻)の年収も考慮に入れる必要があります。
*2:財務省「平成29年度 税制改正 個人所得課税・資産課税」