【Z世代のマネー学】投資信託とETFは何が違う?どちらがおすすめ?

【Z世代のマネー学】投資信託とETFは何が違う?どちらがおすすめ?
マネーケア

実際のインデックスファンドとETFを比較してみよう

実際のインデックスファンドとETFを比較したのが、次の表です。

●同じETFを「直接購入」vs「投信を通じて購入」

(株)Money&You作成

表は、投資信託の「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と、ETFの「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」を比べたものです。

VTIは、米国株式市場全体を対象にした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」という指数に連動する投資結果を目指して運用されます。VTIを利用すれば1本で米国株式市場全体に投資したのと同じような効果が得られる、というわけです。対するSBI・V・全米株式インデックス・ファンドは、投資信託を通じてVTIを購入している商品です。

つまり、VTIとSBI・V・全米株式インデックス・ファンドの投資先は同じです。

VTIとSBI・V・全米株式インデックス・ファンドを比較して、目立って違うのは信託報酬(経費率)でしょう。SBI・V・全米株式インデックス・ファンドの信託報酬は年0.0938%。数ある投資信託のなかでも相当安い水準です。しかし、VTIはそれよりもさらに安い年0.03%なのです。信託報酬は、ほんのわずかな違いであっても、長期間保有するほど大きな差になっていくので、当然安いほうが有利です。

では、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドは不要で、VTIを利用すればいいのかといえば、そんなことはありません。

SBI・V・全米株式インデックス・ファンドは、ネット証券・スマホ証券を利用すれば100円から投資できるので、少額で投資をスタートしたいのであれば便利です。

また、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドは、年間40万円までの投資で得られた利益を20年にわたって非課税にできるつみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)にも対応しています。投資の利益にかかる税金は利益の20.315%と、結構な割合です。これがゼロにできるのですから、より効率よくお金を増やせるでしょう。

そのうえ、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドは分配金を自動で再投資することも可能です。少額から手間なく投資をしたい、つみたてNISAで非課税にしたいという場合には、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドのほうが便利でしょう。

なお、本稿執筆時点でSBI・V・全米株式インデックス・ファンドはiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)には対応していませんが、同じくVTIに投資を行う「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はiDeCoにも対応しています。iDeCoでは、投資の利益を非課税にできるうえ、出した掛金に応じて毎年の所得税や住民税が減らせますし、老後(60歳以降)に受け取るときにも税金の優遇が受けられます。

インデックスファンドとETF、どちらがおすすめ?

改めて、インデックスファンドとETFのメリットを整理すると、次のようになります。

インデックスファンドのメリット

①少額から取引できる
②分配金が自動的に再投資できる
③つみたてNISAやiDeCoで投資可能な商品もある

ETFのメリット

①リアルタイムでいつでも取引できる
②インデックスファンドより低コストで分散投資が可能

コスト面を単純に比較すれば、ETFに軍配が上がります。しかも、ETFならば市場の開いている時間に機動的に売買できます。市場での値動きによっては、思ったより安く買えたり、高く売れたりすることもあるでしょう。

しかしETFでは、売買時に手数料がかかる場合があるほか、iDeCoは対象外です。つみたてNISAにはETFがあるものの本数が少なく、自動積立できる証券会社が限られています。さらに、分配金が自動的に再投資されるサービスも少ないため、複利の効果を受けようとするとどうしても手間がかかってしまいます。

以上を踏まえると、Z世代のみなさんがこれから投資をするのであれば、まずは投資信託を活用するのがおすすめ信託報酬の安いインデックスファンドを利用して、つみたてNISAやiDeCoといった、節税しながらお金を増やせる制度を最大限活用しましょう。確かに信託報酬の面ではETFに分があるとはいえ、つみたてNISAやiDeCoの節税効果はそれを補ってあまりあるメリットです。

ETFは、つみたてNISAやiDeCoを上限まで利用して、さらに投資したいという場合に活用すればいいでしょう。つみたてNISAやiDeCoと並行してETFに積立投資を行うことで投資額が増え、お金をより増やしやすくなります。また、つみたてNISAとiDeCoで投資をしつつ、ETFはリアルタイムで売買することで、利益の上乗せも狙えます。ぜひみなさんの投資行動に生かしてみてください。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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