一般NISA・つみたてNISAの実態 口座数は増えても投資している人は少ないのは本当か

一般NISA・つみたてNISAの実態 口座数は増えても投資している人は少ないのは本当か
マネーケア

長期投資はできるだけ長く続けよう

「投資を続ける」に付随してもうひとつ、気になるデータがあります。それは、NISAの資産の売却額です。

確かに、NISAの資産はいつでも売却し、お金を引き出すことができます。もちろん、一般NISAを利用して購入した株を、タイミングを見計らって機動的に売却したのであればいいでしょう。また、「結婚・出産・住居購入・子どもの教育など、お金がかかるライフイベントが発生した」「目標としていた金額に達した」などの場合に、NISAで用意してきた資産を売却し、お金を引き出すのも問題ありません。

しかし、「長期にわたって投資をしようと思っていたのに、市場が値上がり(値下がり)したから売却する」ことは、おすすめしません

たとえば、先に紹介した金融庁のデータによると、2020年の1年間に売却されたつみたてNISAの資産の合計は約519億円でした。つみたてNISAの制度は2018年からですから、長くても3年足らずで売却されたことになります。

つみたてNISAの非課税期間は、投資した年から20年ですから、2018年に投資した資産は2037年まで非課税、2019年に投資した資産は2038年まで非課税…という具合に、20年間非課税期間が得られます。そのうえ、20年の非課税期間が過ぎても、資産を課税口座に資産を移して運用を続けることができます。つみたてNISAの20年の非課税期間に得られた利益については、課税口座に移ったあとも非課税です。にもかかわらず、3年程度の運用期間で売却してしまうと、残りの17年程度の非課税期間を利用できなくなってしまいます。

そもそも投資信託は、長期・積立・分散投資で利益を得ることを目指す商品です。長期・積立・分散投資は、リスク(利益や損失のブレ幅)を抑えてお金を増やす王道の投資法です。

長期投資は、数十年など、長い期間で投資を行うことです。投資は、短期間で稼ごうとするほど値上がりのタイミングを計る必要があるため、どうしてもリスクが大きくなりがちです。しかし、長期投資を心がけていれば、一時的に損失を被ったとしてもその後回復する見込みがありますし、利息が次の利息を生み出す複利効果も期待できます。複利効果は、投資期間が長いほど有利に生かすことができます。

積立投資は、定期的に一定額ずつ投資することです。定期的に一定額ずつ投資し続けていると、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことができるため、平均の購入単価を下げることができます。これを「ドルコスト平均法」といいます。ドルコスト平均法を生かして積立投資を続けることで、その後値上がりした場合に利益を出しやすくなります。

そして分散投資は、投資先や購入タイミングをわけることです。投資ではよく「タマゴはひとつのかごに盛るな」といわれます。タマゴをひとつのかごに盛ると、万が一かごが落ちてしまったとき、すべてのタマゴが割れてしまいます。でも、複数のかごに分散して盛っておけば、どれかひとつを落としても他のかごのタマゴは無事で済みます。投資もこれと同じで、どこかひとつの投資先に集中せず、複数の投資先にお金を分散させることで、値下がりのリスクを抑えながら堅実に増やせると考えられます。

本稿執筆時点で2021年の売却額のデータはまだ出ていないのですが、おそらく2020年よりも増えているでしょう。上でも触れたように市場が好調だったため「このあたりでいったん利益確定しよう」と考えて売却した人が多いと考えています。一方で、2022年は市場が乱高下しています。損失が大きくなったり暴落が起こったりしたときに怖くなって、売ってしまった人もいるかもしれません。しかし、長期投資しようと考えてスタートしたのであれば、目先の値動きにとらわれずに投資を続けるべきです。

金融庁のレポートによると、国内外の株や債券へ20年かけて積立投資した場合、収益率が年2〜8%に収まると説明しており、元本割れが起きていないのです。もちろん、過去のデータ上の話なので、今後も絶対にそうなるという保証はできません。しかしながら、長期・積立・分散投資をすることで、値動きをある程度の範囲に収めることができ、損失の可能性を減らせると考えられます。

ですから、長期にわたって投資しようと考えて投資をスタートしたならば、途中でやめないで、「複利効果」を享受しながら大きく増やせるよう、長く続けることを考えましょう。淡々と投資を続けることで、20年後・30年後には大きな資産を築けているでしょう。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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