若者の「投資のトラブル」を事例で解説。投資する上で注意したいこととは
●投資にまつわる消費者トラブル3:怪しい情報商材に手を出す
【事例】
・「アフィリエイトで簡単に儲かる」という広告を見て、約3000円のマニュアルを購入。マニュアルにはたくさんの有料プランがあり、事業者からも「有料プランに入らなければ儲からない」といわれたため、65万円のプランを契約した。しかし、記事を書いても儲からず、事業者とも連絡が取れなくなった。
・「AIを搭載した投資用USBを利用すれば簡単に儲かる」と言われ、高額な借金をして購入。そのうえ、友人に紹介すると紹介料が受け取れるというので、投資用USBを紹介した。しかし、投資用USBではまったく儲からないうえ、友人からは詐欺師呼ばわりされるようになった。
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「お金が稼げるノウハウを教える」とうたう情報商材はたくさんあります。また、投資用USBといったツール類を提供するものもあります。価格は数万円〜数十万円、いかにも儲かりそうにできています。しかし、中身は広告などと違って、まったく価値のない内容だったり、役に立たない内容だったりすることもあります。加えて、友人を紹介するとお金がもらえるといって、購入者を増やそうとする「マルチ商法」も昔ながらの手法ですが、いまだにあります。このような怪しい情報商材に手を出すと、お金だけでなく周囲からの信用も失ってしまいます。
出典:国民生活センター「情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル」
財務省 関東財務局:東京財務事務所からのお知らせ
●投資にまつわる消費者トラブル4:ポンジスキームに注意
【事例】
・「元本保証で高利回りの投資がある」と勧誘を受けた。聞くと、「出資すると年利4%の配当が毎月振り込まれる」というので、40万円を出資した。翌月、実際に説明どおりの金額が振り込まれたので、追加で出資を行った。しかし、その後配当が振り込まれなくなり、業者も破産したという連絡があった。
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ポンジスキームは古くからある投資詐欺です。表向きは「出資者全員のお金を集めて運用し、その利益を出資金に応じて還元する」となっていて、投資信託と似ているのです。しかし実態は自転車操業。実は投資は行われておらず、後から参加した出資者のお金を配当にあてながら、お金を集め続けていきます。当初はきちんと配当が振り込まれているのも悪質。出資者が「これはいい投資だ」と信じてしまうのです。
しかし、出資者が増えなくなり、配当が支払えなくなると、事業者は残ったお金を持って逃げてしまいます。こうなると、配当はおろか元本まで失ってしまいます。
出典:国民生活センター「レンタルオーナー契約によるトラブルにご注意」
●投資にまつわるトラブル:レバレッジ投資は怖い投資
ここまでの事例は、いずれも悪質な消費者トラブルでしたが、法的には問題なくても、気をつけなければならない怖い投資があります。その代表は、レバレッジ投資です。
レバレッジとは「てこ」のこと。お金を預けることで、預けたお金の数倍〜数十倍の取引ができるしくみです。レバレッジを利用すると、株式投資の信用取引ならおよそ3倍、FX(外国為替証拠金取引)なら25倍の取引ができます。
レバレッジをかけると、かけた分だけ利益も大きくなります。FXの場合、仮にレバレッジ25倍で取引してうまくいったら、単純にいって利益が25倍になります。それだけ、少ない資金でも大きな利益が狙えます。しかし、思惑が外れた場合の損失も、25倍になってしまいます。つまり、レバレッジは「諸刃の剣」なのです。
さらに、海外のFX会社の中には、数百倍のレバレッジがかけられるところも。25倍ですら相当のハイリスクなのに、それ以上のリスクがかかることになります。下手をすると一瞬でお金が消えてなくなってしまうのです。これでは、資産形成などできるわけがありません。
楽して簡単に儲かる話はない!
お金を稼ぎたいという気持ちにつけこんだ罠は、昔も今もたくさんあるのが現実です。特に暗号資産など、新しい金融商品(よくわからないけれど儲かりそうな金融商品)が出てきたときに、詐欺は起こりがちです。そのうえ、手口も巧妙になっています。「自分は大丈夫」と思っていても、いつのまにかトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
ここまでお話ししてきたとおり、世の中に「楽して簡単に儲かる話」はありません。詐欺師は「あなただけに教える」「これを見逃すのはもったいない」などと誘惑してきます。また、あなたの身近な人が詐欺を信じ込んで誘ってきたり、LINEのグループに勧誘してきたりすることもあるかもしれません。
しかし、そもそもそんな簡単に儲かる話ならば、あなたにわざわざ教える必要はないはず。「どうして自分を誘ってくるのか」と考えれば、自然と答えは出るはずです。うますぎる話があった場合には必ず疑ってかかり、きっぱりと断るようにしましょう。
万が一詐欺にあってしまった場合には、全てのケースで認められるわけではありませんが、クーリングオフができるケースがあります。詐欺にあってしまった後、どのように対処したら良いのかわからないという場合には、国民生活センターや金融庁の「金融サービス利用者相談室」などに相談しましょう。