都道府県の年金受給額に格差あり、年金受給額ランキングと年金が少ない場合の対策を解説

都道府県の年金受給額に格差あり、年金受給額ランキングと年金が少ない場合の対策を解説
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年金の受給額に地域差がある理由

年金の受給額については、国民年金でも厚生年金でも都道府県で格差が見られます。その理由はどこにあるのでしょうか。

国民年金は全国一律の年金額なので、違いが生じるとすれば、未納期間や免除期間があったことが考えらえます。
厚生労働省年金局の「令和元年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によれば、全国平均は納付率69.25%です。
納付率が高かった都道府県は、1位島根県(81.48%)、2位富山県(81.34%)、3位新潟県(81.25%)で、日本海側の気候が厳しく、冷害が多い地域が多くなっています。万一に備えて堅実で、真面目にコツコツ型が多いのも特徴です。

国民年金保険料の納付状況が低い都道府県は、45位東京都(64.78%)、46位大阪府(61%)、47位沖縄県(55.41%)です。沖縄県では、約半数が年金保険料を納めていません。これなら年金額が低くなっても仕方ありませんね。
沖縄県民は明るく楽天的という性格です。血縁をまとめる「門中」というしくみがあり、困ったら親族で助け合います。さらに時間にルーズで、約束の時間より30分以上遅れるのは日常茶飯事。こうした気質とおおらかな気候が影響しているのでないかと思います。

また、令和2年度の納付率は全国で71.5%国民年金地域別の保険料納付状況

国民年金地域別の保険料納付状況
※厚生労働省年金局「令和元年度国民年金の加入・保険料納付状況」をもとに筆者作成。

一方、厚生年金は、保険料を納めた期間と額に比例する年金であるため、同じ期間働いても収入が多い人が年金を多くもらえることになります。
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によれば、都道府県別にみた賃金は、高い順に東京都、神奈川県、愛知県になっています。
この調査は、事業所が回答することになっているので、従業員の住まいは事業所の近隣の都道府県ということになります。関東圏の厚生年金の受給額が高いこともうなずけますね。

逆に賃金が低い都道府県は、低い順に青森県、岩手県、秋田県、宮崎県、山形県と続きます。その土地の住みやすさは別として、収入の額の違いが厚生年金の受給額に比例することがうかがえます。

都道府県別賃金(男女計)

都道府県別賃金(男女計)
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」をもとに筆者作成。
令和2年度の現年度納付率

もし年金が少なかったらどうする?

年金を取り巻く環境は、変化しています。働き方、制度の有効活用と時間を味方につけて、資産や受給額を増やしていくことができます。

対策その1 収入を増やす、長く働く

現在の収入を増やすことができれば、これからの資産形成にプラスになります。そうでなくても、元気なうちは働くというスタンスでいるのなら、60歳以降も収入が得られ、老後資金の取り崩しが低く抑えられます。
会社員や公務員の場合、厚生年金への加入は70歳未満まで可能です。厚生年金の加入期間が長くなればその分、年金も増えます。
また社会保険の場合には、健康保険料なども労使折半なので、個人で納めるのにくらべると負担が少なくてすみます。

対策その2 有利な制度を利用して自分年金を準備する

安定した生活には、公的年金以外にも老後資金の準備が欠かせません。税制面で優遇されている制度をぜひ利用して、資産を増やしていきましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で5000円以上1000円単位の掛金を決め、商品を選んで運用します。その掛金全額が所得控除になり、運用益に税金がかからず、受け取り時にも税金の優遇制度が使えます。
また、つみたてNISAは運用益に税金がかからず、信託報酬も低く抑えられています。どちらの制度も自分年金を準備するのに便利な制度です。

自営業の方やフリーランスという場合には、国民年金上乗せする国民年金基金に加入したり、付加年金を納付したりする制度もあります。掛金が全額所得控除になるため、所得税や住民税が安くなります。

対策その3 保険料を40年間納付する

国民年金は、学生納付特例で納付していなかったり、免除期間があったりすると満額もらうことができません。国民年金保険料をさかのぼって納められるのは2年です。免除や猶予されていた期間の保険料は後から追納できますが、10年以内の期間に限られます。
できるだけ満額もらえるように、保険料を40年間納付するようにしましょう。もし60歳までに受給資格を満たしていない場合や、未納期間がある場合などで、厚生年金に加入していないときには、60歳以降でも任意加入することができます。

対策その4 年金を受け取る時期を繰下げる

年金は、65歳から受け取るのが原則ですが、66歳以降に受け取りを延ばすことができます。遅く受け取ると割増があり、65歳になった月から年金を請求した前の月までの月数に0.7%を掛けた金額が増額されるしくみになっています。
現在は70歳0か月が上限で増加率42%ですが、2022年4月から上限が75歳までに拡大されます。この場合の年金月額は、84%増額されることになっています。繰下げの制度は、国民年金と厚生年金の両方にあります。

人生100年時代といわれる社会になってきました。長生きになったことで、資産を増やす知識と行動が問われています。「年金は将来もらえない」とあきらめている若い世代の声も聞きますが、間違った理解をしたままだったり、知らないことで損をしていたりということも少なくありません。小さな心がけが大きな成果を生み出します。将来に向けて、できることからスモールステップを踏み出しませんか。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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