【Z世代のマネー学】短期vs長期、一括vs積立、集中vs分散、どっちの投資が良いの?
「短期投資vs長期投資」プロはなぜ長期投資を選ぶ?
長期投資とは、文字どおり長期間投資を続けることです。
どれくらいの長さからが「長期」という明確な定義はありませんが、おおよそ数十年かけて投資を行うことをいいます。
対する短期投資は、それよりも短いスパン、たとえば数十秒、数分、数時間、1日、数日、数週間などといった間隔で頻繁に売買を繰り返すことです。
長期投資と短期投資のメリット・デメリット
表:筆者作成
短期投資にも、うまくいけば短期間で利益が確定するなど、メリットはあります。
しかし、逆に思惑に反すると短期間で損失が膨らむ可能性もあります。
短期投資ではどうしても利益や損失のブレ幅が大きくなってしまいがちなのです。
しかし、数十年という長い期間で投資すれば、リスクを減らし、世界経済の成長とともに利益を得る期待ができます。
機関投資家も、リスクを減らすために、資産の大部分で長期投資を行なっています。
また、複利効果を生かしやすいのも短期投資にはない長期投資のメリットです。
複利効果とは、運用で得た収益や利息を再び投資することで、その投資したお金にも利息がつく効果のこと。
つまり、時間をかければかけるほど、お金自身が働いて稼ぐ金額が増えていくのです。
たとえば毎月3万円を貯めて金利5%で運用できた場合、30年後の総額の差は単利(元本にしか利息がつかないこと)と複利で615万円にもなります。
お金を増やしたいのであれば、複利効果を活用することが大切なのです。
複利効果のイメージ
毎月3万円を貯めた場合の総額は?(金利5%で運用した場合、税金非考慮)
表、グラフ:筆者作成
投資信託の中には、投資家に利益を還元する「分配金」を出すものがあります。
長期投資で複利効果を得るのであれば、分配金は受け取るよりも再投資に回したほうが、複利効果を活用できるので効率よく投資ができます。
分配金を受け取らずに再投資しながら、コツコツ資産形成をしましょう。
「一括投資vs積立投資」プロはなぜ積立投資を行う?
積立投資は、定期的に一定額ずつ投資をしていくこと。
それに対して一括投資は、まとまった額を一度に投資することです。
積立投資と一括投資のメリット・デメリット
表:筆者作成
もし、値上がりし続ける金融商品を購入するのであれば、安いときに一括投資して、高くなってから売れば利益が大きくなります。
しかし、投資する前にそもそも「値上がりし続ける」かどうかはわかりません。
タイミングを見計らって投資したものの、そこがもっとも高値で、そこからずるずると値下がりしてしまう可能性もあるのです。
つまり、一括投資はリスクが大きい投資なのです。
積立投資ならば、定期的に、決まった日に一定金額の金融商品を淡々と買っていきます。
そうすることで、タイミングを考えずに投資ができます。
また、商品の価格が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わなくなるため、平均購入単価を下げることができます(ドルコスト平均法)
長期投資の複利効果の例でも、毎月3万円ずつ積立投資で運用をしています。
長期投資と積立投資を組み合わせることで、元本割れのリスクを下げることができる、というわけです。
「集中投資vs分散投資」プロはなぜ分散投資する?
分散投資は、さまざまな商品にお金を分けて投資することです。
一方、集中投資は、どれかひとつの商品に全額まとめて投資することです。
集中投資と分散投資のメリット・デメリット
表:筆者作成
投資の格言に「たまごは1つのかごに盛るな」というものがあります。
もしもたまごをひとつのかごに盛ってしまうと、万が一そのカゴを落としたときに全部割れてしまいます。
しかし、たまごが複数のかごに分けてあれば、そのうちのひとつを落としたとしても被害は限定的。他のたまごは守ることができます。
投資もこのたまごの考え方と同じ。
確かに、どれかひとつに集中投資した場合、それが大当たりした場合の利益は大きいでしょう。
しかしそれは同時に、値下がりした場合の損失も大きいことを意味します。
資産も複数に分けておくことで、値動きが安定するのです。
株式と債券の値動きは一般的に逆の動きをします。2020年のコロナショックの際には、株式は国内も海外も全面的に大きく値下がりしました。しかし、米国債の債券価格は急上昇(金利は急低下)したのです。
このように、資産を分散して持つことで、値下がりリスクを低減できる、というわけです。
また、冒頭で紹介したGPIFの資産構成も、見事に分散投資を実践しています。
GPIFの運用資産額・資産構成の割合
2020年12月末現在、GPIFのウェブサイトより
GPIFの運用がスタートしたのは2001年のこと。
それから約20年後の2020年12月末現在で収益額(累積)はなんと+85.3兆円と、大きく利益を出すことができています。