【Z世代のマネー学】一般NISAとつみたてNISA、徹底攻略

一般NISAとつみたてNISA、徹底攻略
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一般NISAとつみたてNISAの主な違い

一般NISAとつみたてNISAの主な違い
表:筆者作成

注意していただきたいのは、どちらの制度も、毎年の非課税投資枠は使い切りだということ。
一般NISAやつみたてNISAで買ったものを売っても、非課税投資枠は復活しません。また、使わなかった非課税投資枠を翌年に持ち越すこともできません。
ですから、非課税の恩恵を大きく受けたいのであれば、なるべく早くはじめて、上限額いっぱいで投資を行い長く続けたほうがいいというわけです。

それから、一般NISAとつみたてNISAは、併用することができません。投資をする際には、金融機関に一般NISA口座かつみたてNISA口座かを選んで開設します。
なお、年に1回、すでに開設している一般NISA口座をつみたてNISA口座に変更する(つみたてNISA口座を一般NISA口座に変更する)ことはできます。

2024年からはNISA制度が変わる

NISAの制度は、2024年から一部変更になります。
変更の主なポイントは以下のとおりです。

一般NISAとつみたてNISAが5年延長に

NISAで新規に投資できる期間は当初、一般NISAが2023年まで、つみたてNISAが2037年まででした。これが5年ずつ延長されて、一般NISAが2028年まで、つみたてNISAが2042年まで新規に投資できるようになります。
なお、未成年者向けのNISA「ジュニアNISA」は、2023年をもって制度が終了します。

一般NISAが「新NISA」に変わる

一般NISAの制度は、2024年から「新NISA」(仮)に変わります。
2024年以降の新NISAで投資できる金額は年122万円まで。一般NISAよりも年2万円、5年で10万円多く投資できるようになります。

新NISAでの投資は2階建てになります。1階部分は年20万円、2階部分は年102万円までの投資ができ、それぞれの利益が非課税になります。
1階部分でできる投資はつみたてNISAと同じく、投資信託・ETFの積み立て投資のみ。2階部分では、一般NISAと同様、上場株式などに投資ができます。

原則として、1階部分で積み立て投資を行わないと、2階部分は利用できません。
とはいえ、1階部分で20万円分を使い切る必要はなく、たとえば毎月1000円など、少しでも積立投資をしていれば2階部分も利用できるようになる見込み。

ただし、すでにNISA口座を持っている方、株式投資の経験者は2階のみ利用することができます。
今までNISAで株を買っていた人にとっては、年間の非課税投資金額が120万円から102万円になり、減額になりますので痛い改正と言えそうです。

また、新NISAの1階で投資した分は、非課税投資期間が終わったあとにつみたてNISAに資産を移して運用(ロールオーバー)できます。こ
れを利用すると、新NISAで5年+つみたてNISAで20年の計25年にわたって、非課税で運用できます。

一般NISAは2024年から新NISAへ
図:筆者作成

ミレニアル世代・Z世代におすすめはつみたてNISA

一般NISA(新NISA)とつみたてNISA。2つのNISAは、同時に利用することができません。

ミレニアル世代・Z世代のみなさんにおすすめなのは、つみたてNISAです。
その理由は、大きくわけて次の3つです。

理由①:長期・積立・分散投資が生かせる

もっとも大きな理由は、長期・積立・分散投資が生かせることです。
すでに本連載の「日本人の資産は20年でいくら増えた? お金の置き場所を考える」でも紹介したとおり、長期・積立・分散投資は「投資の王道」と呼ばれる手法です。

「長期」は、長い時間をかけて投資を行うこと。
「積立」は、感情に左右されず淡々と、毎月一定の金額を投資に回すこと。
そして「分散」は、投資先や購入タイミングを分けること。

この投資を実践することで、複利の効果を生かしつつ、お金を堅実に増やす期待ができます。

理由②:若いことが有利になる

長期・積立・分散投資は、長く続けるほど有利になります。そのうえ、つみたてNISAを利用して非課税で投資できる期間は2042年まで。2021年の今から投資をスタートすれば、最大で880万円まで非課税で投資できます。

ミレニアル世代・Z世代のみなさんならば、2042年になってもまだまだ元気に活動しているはず。
今からつみたてNISAにじっくり取り組んでおけば、将来に向けてまとまったお金を準備することができる、というわけです。

もちろん、NISAは途中で引き出しもできる制度なので、ライフイベントなどで必要な場合は引き出すことも可能です。

それもこれも早くはじめておけば、様々な資金に活用できるオプションになります。

理由③:商品が選びやすく、はじめやすい

私たちが購入できる投資信託は6000本以上あります。その中には、残念ながらお金を増やすのに適さない商品がたくさんあります。
しかしつみたてNISAではその中から、金融庁の基準を満たした193本(2021年4月7日時点)の商品のみ購入できるようになっています。いずれも、手数料が安く、長期の資産形成に適した商品となっています。

193本でも多いと思う方もいるかもしれませんが、各金融機関はこの中からさらに絞って厳選しています。金融機関によっては3本〜5本に絞っているところもあります。数が多くて選びにくいという方でも選べることでしょう。

そのうえ、つみたてNISAは金融機関によりますが、100円と少額からスタートできます。「今まとまったお金はないけど、投資をしてみたい」「いきなり大金を投資するのは怖い」という方でもはじめやすいでしょう。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

プロフィール

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