投資型クラウドファンディングを法律別で比較! 何がどう違うの?
投資型クラウドファンディングと一口に行っても、関係する法律が多岐に渡っていて、サービスを扱う企業は、貸金業法、金融商品取引法、不動産特定共同事業法、小規模不動産特定共同事業法といった法律に基づく登録を受けています。そして、どの法律の登録を受けているかで、提供できるサービスに違いがあります。
今回は、投資型クラウドファンディングのサービスを法律による違いで分類してご紹介します。
そもそも投資型クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングには、寄付型・購入型・投資型の3種類があります。このなかで、分配金など、お金のリターンがあるものを投資型クラウドファンディングといいます。
投資型クラウドファンディングは、プロジェクトに出資をすることで、金銭的リターン(分配金等)を得られるものです。
実は投資型はさらに「ファンド型」「株式型」「貸付型(ソーシャルレンディング)」の3つに分かれています。
投資型は、どの法律に登録して運営しているかによって、提供できるサービスが異なります。以下、具体的にどんな法律が関わっているのか、そしてどのようなサービスを提供しているのか、紹介していきます。
金融商品取引法(第二種金融商品取引業)
筆者作成
金融商品取引法は、金融商品の売買を行う金融商品市場の適切な運営や投資家の保護、有価証券の開示などを定めている法律です。金融商品取引業を行う会社はこの法律に基づいて、内閣総理大臣に申請・登録する必要があります。
金融商品取引業は、取り扱うサービスによって「第一種金融商品取引業」「第二種金融商品取引業」「投資運用業」「投資助言・代理業」の4つに分類されています。このうち、ファンド型クラウドファンディングのサービスを行うには、金融商品取引法の「第二種金融商品取引業」の登録が必要です。
第二種金融商品取引業の登録をしている会社は、投資家から集めたお金を子会社など、同じグループの会社に融資します。次に説明する貸金業法の登録がないと、他の貸付先に融資することはできないのですが、子会社ならば融資ができます。そして、その子会社を通じて資金調達や融資、不動産関連の事業などを行い、得られた利益の一部を投資家に配分します。
代表的なサービスには「クラウドクレジット」「Funds」「クラウドリアルティ」があります。
貸金業法+金融商品取引法
筆者作成
貸金業法は、消費者金融などの貸金業者や、貸金業者からの借入れについて定めている法律です。
「貸金業法+金融商品取引法」の登録をしている会社は、投資型クラウドファンディングのなかでも、資金調達をしたい貸付先と、投資をしたい投資家を結びつける「融資型・貸付型クラウドファンディング」「ソーシャルレンディング」と呼ばれるサービスを展開しています。これらのサービスで募集しているファンドを貸付型ファンドと呼びます。
事業者(サービスを提供する会社)は投資家からお金を集め、そのお金を資金調達したい貸付先に融資します。そして、貸付先からの返済があったら、元本と分配金を投資家に支払います。お金を集める業務と、お金を融資するサービスをワンストップで行っています。
代表的なサービスに、「maneo」「SBIソーシャルレンディング」「クラウドバンク」があります。
金融商品取引法(電子申込型電子募集取扱業務)
筆者作成
第一種金融商品取引業または第二種金融商品取引業に加えて、金融商品取引法の電子申込型電子募集取扱業務の登録を受けているサービスでは、「事業型ファンド」への出資を募集しています。事業型ファンドはお金の貸付ではなく、たとえば「飲食店の経営」「太陽光発電事業」といった事業に投資し、そこで得られた利益を投資家に還元します。
事業者は投資家からお金を集めますが、そのお金の実際の運用は外部に委託し、事業の運営を任せます。そして、得られた収益の一部を分配金として投資家に支払います。
代表的なサービスには、「セキュリテ」「ビットリアルティ」があります。
金融商品取引法+第一種少額電子募集取扱業
筆者作成
金融商品取引法の「第一種金融商品取引業」の登録を受けている場合、株式や債券といった、有価証券の売買ができます。それに加えて、「第一種少額電子募集取扱業」の登録を受けているサービスでは、非上場株式も扱うことができます。これを利用して、株式型クラウドファンディングを行っています。
なお、これらのサービスでは企業の年間資金調達金額の上限が1年間に1億円未満、投資家の投資額の上限は同じ会社の場合1年間に50万円以下などと、少額の用件が定められています。また、投資勧誘もウェブサイトの閲覧か電子メールの送信だけとなっています。
代表的なサービスには、「FUNDINNO」「EMERADA Equity」があります。