「始めたまま放置」「資産がマイナス」…確定拠出年金、こんなときどうする?

マネーケア

掛金を自分で運用して老後資金を用意する確定拠出年金。自分で、あるいは勤め先の企業で取り組んでいる方も少なくないと思います。とはいえ、長い運用期間中には、「こんなときどうする?」と悩んでしまうこともきっとあるはず。
今回はそんな、運用中の疑問や対処法について、お伝えします。

まずは確定拠出年金の運用の仕方をおさらい

確定拠出年金には、自分で掛金を出すiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)と、勤め先の企業が掛金を出す企業型DC(企業型確定拠出年金)があります。掛金の出所こそ違いますが、どちらの場合も運用は自分で行います。

運用開始までの具体的な手順は、以下のとおりです。

①掛金を決める

iDeCoの掛金は月々5,000円以上、1,000円単位で設定できます。上限は勤め先や雇用形態によって次のように異なります。

●第1号被保険者(自営業者):月額6.8万円(年81.6万円)
※国民年金基金または付加保険料との合算枠

●第2号被保険者(会社員・公務員)

  • 会社に企業年金がない会社員:月額2.3万円(年27.6万円)
  • 会社の企業型DCに加入している会社員:月額2万円(年24万円)
  • 会社の企業型DCと確定給付企業年金に加入している会社員:月額1.2万円(年14.4万円)
  • 確定給付企業年金のみに加入している会社員:月額1.2万円(年14.4万円)
  • 公務員等:月額1.2万円(年14.4万円)

※企業年金がある会社の場合、規約にiDeCoに加入できる旨の記載がないと加入できない

●第3号被保険者(専業主婦(夫)):月額2.3万円(年27.6万円)

企業型DCの掛金は企業ごとに決まるので、従業員拠出(マッチング拠出)を除き、個人で掛金を拠出することはありません。

②金融機関を決める

iDeCoを取り扱う金融機関・運営管理機関の中から、加入する機関を1つ決めます。金融機関ごとに、毎月の手数料や商品ラインナップ、サービスの内容などが違うので、しっかり内容を比較して決めましょう。
企業型DCの場合は、会社が利用する金融機関となります。

③商品を決める

加入した金融機関の商品ラインナップから、運用商品を選びます。
運用商品は大きく「元本確保型」(定期預金・保険)と「元本変動型」(投資信託)の2つに分けられます。
たとえば「定期預金に30%」「投資信託Aに50%」「投資信託Bに20%」という具合、金額指定ではなく、合計が100%になるように割合で選択します。

はじめから放置しているなら…ポートフォリオを作ろう

ここまでのおさらいを見て「運用商品なんて決めたっけ?」という方は要注意。自分でiDeCo・企業型DCの商品を決めていないかもしれません。
iDeCoは自分で利用したいと考えて加入しますからその可能性は低そうですが、企業型DCは「会社に言われるがままよくわからずに加入した」ということもあるでしょう。

自分で運用商品を決めないでいると、掛金は金融機関が定める「指定運用方法」で自動的に運用されるようになります。この指定運用方法は金融機関により異なりますが、定期預金の場合と投資信託の場合があります。

定期預金の場合、元本は保証されますが、現状の利率ではお金がほとんど増えません。それどころか、iDeCoの場合は毎月の手数料(最低でも毎月171円)を自分で支払う必要があるため、長期的に見るとマイナスになってしまいます。
また、投資信託の場合、自分の把握していないリスクを背負うことになりますし、高い信託報酬(投資信託を持っている間にかかる手数料)を支払うことになってしまいます。

確定拠出年金で用意するのは、他の誰でもない、自分の老後資金です。ですから、どのように貯めるのかをよく考えて、最適なポートフォリオ(資産の組み合わせ)を作りましょう

投資信託だけでなく、株式・債券・不動産などの商品の価格は、日々変動しています。ですから、確定拠出年金のように長期間の投資をする場合は、値動きの異なる資産を組み合わせる(分散投資する)のがセオリーです。
すると、仮にある資産が値下がりしても、ほかの資産が値上がりしてカバーしてくれる効果が期待できます。こうした資産の組み合わせのことをポートフォリオといいます。

ポートフォリオは、人によって異なります。
なぜなら、人によって取ってもいいと考えるリスクの度合い(リスク許容度)が違うからです。リスク許容度は普通、年齢が低くてお金に余裕があるほど高いとされますが、個人の考え方にも大きく左右されます。
ポートフォリオを組むときには、自分のリスク許容度に合った資産を組み合わせるのが一般的です。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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