年末調整で慌てない 準備しておく書類や手続き

税金

10月になると、「控除証明書」と書かれたハガキや封書が、加入している保険会社などから送られてきます。控除証明書は、会社員などが会社で年末調整をするときに必要な書類です。

今回は、年末調整の仕組みと年末調整の手続きについて、わかりやすく解説します。

年末調整とは

会社員や公務員などを対象に、1年間(1~12月)の所得税を精算することを年末調整といいます。
給与明細を見ると、毎月の給与から所得税が控除されています。これは給与額と扶養家族の人数をもとに決まった仮の金額です
ちなみに、控除とは差し引くことです。

年末調整では、1年間の給与収入から生命保険料控除などの控除項目を差し引き、そこに税率を掛けて所得税を計算します。
1年間の正確な所得税と比べて、毎月の給与から控除された所得税合計が多いときには、払いすぎた所得税が戻ってきます。少なければ所得税を追加で支払います。

準備しておく「控除証明書」

原則として、控除証明書がないと控除してもらえませんが、年末調整までに控除証明書が届かない場合は支払ったことが証明できる領収書でも代用できます。コピーではなく原本を提出しましょう。

生命保険料、地震保険料の控除証明書

生命保険料や地震保険料に関する控除証明書は各保険会社で様式が異なります。ハガキの場合がほとんどですが、封書の場合もあります。見えるところに「控除証明書」と記載されていますので、他のDMと間違えて捨てないようにしましょう。

年末調整用の書類をまとめて手帳の中にしまうなど、いつも目に付くところに保管するのがポイントです。そうすれば年末調整のときでも慌てずにすみます。
11月下旬になっても届かないときは保険会社などに問い合わせましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書

iDeCoは将来の年金を個人で積み立てる制度で、掛金は所得から控除できるので税金が安くなります。すでにiDeCoに加入している場合は「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。

加入していなければこれから入るのもアリです。証明書が年末調整に間に合わなくても確定申告で所得税を取り戻せます。iDeCoは、月払いのほか半年や年払いが選べます。

国民年金、国民健康保険の控除証明書

国民年金や国民健康保険料を支払っている場合、11月頃に控除証明書が送られてきます。お住まいの市区町村によっては翌年の1月の場合もあり、年末調整に控除証明書が間に合わないケースがでてきます。

国民年金や国民健康保険料の場合、控除証明書でなくても支払ったことがわかる領収書でOKです。ご家族の分を負担していれば、その分も控除の対象です。

住宅ローン控除証明書

住宅ローン控除を利用する場合、1年目は確定申告を行いますが、2年目以降は勤務先で年末調整をすることになります。
確定申告を行った年の10月頃に税務署から住宅ローンの控除証明書が届くので、該当する年の控除証明書として年末調整に使います。

住宅ローンの控除証明書は9年分がまとめて送られてきます。わかりやすいところに大切に保管しておきましょう。万が一紛失してしまったら、再交付してもらえますので税務署に問い合わせてみましょう。

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山田 香織

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、産業カウンセラー。 FP歴9年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。 個人から...

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