マネー初心者でもわかる!所得税の仕組み
税金のことは、内容が難しく計算が面倒だと敬遠しがちですが、税引き後の手取りがどうなるかで生活に大きく影響を与えます。
今回は所得税の仕組みを解説します。
所得の種類にはどんなものがあるの?
所得税といえば、給料からこの金額が引かれなかったらいいのに…と感じてしまいますが、本来は本人が税額を計算し、自主的に申告・納付をすることになっています。
暦年(1月1日~12月31日)を計算する期間とし、収入金額から必要経費を差し引いたものが「所得」です。会社員の場合、「給与所得控除」が必要経費にあたります。
所得税は、どのような方法で得た所得かによって10種類に区分されます。すべての所得を合算して課税する「総合課税」を原則にしていますが、一定のものは他の所得と合算しないで単独で計算する「分離課税」をとるものがあります。
<所得の種類>
(1)利子所得 (2)配当所得 (3)不動産所得 (4)事業所得 (5)給与所得
(6)一時所得 (7)雑所得 (8)退職所得 (9)山林所得 (10)譲渡所得
所得税の計算の仕組み
●第1段階 各種所得金額の計算
種類ごとにそれぞれの所得金額を計算します。非課税所得や源泉分離課税は除かれます。
●第2段階 総所得金額を計算
「第1段階」で計算した総合課税の対象となるそれぞれの所得金額を集計します。
総合課税の対象となる所得は、事業所得・不動産所得・配当所得・利子所得・給与所得・譲渡所得(土地建物等の譲渡所得、株式等の譲渡所得を除く)・一時所得・雑所得です。これらの所得を合算します。
●第3段階 課税所得金額の計算
第2段階で計算した税金をかける所得から「所得控除」と呼ばれる所得から差し引ける金額を引きます。
課税所得金額=総所得金額等-所得控除の総額
●第4段階 所得税額と納付税額の計算
課税所得金額に税率をかけて税額を出します。「税額控除」の住宅ローン控除などがあれば、計算した税額から控除を差し引きます。
●第5段階 最終納付税額の計算
税額控除の後に納付税額を計算します。もし源泉徴収された税額があれば差し引きます。
毎月引かれている所得税はどのように計算されている?
会社員の場合、会社が給料から差し引く形で所得税を源泉徴収しています。
これは毎月の給料から社会保険料を控除した後の金額や扶養家族の人数に応じて、年度別の「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに税額が決められています。
そこで、12月に1年分の収入が確定したら、税額を計算し直すのが、「年末調整」です。年末調整で反映できない所得控除は、確定申告をすることによって最終的な税額を計算することになります。
節税のカギを握る「所得控除」は14種類ある
「所得控除」は税金を公平に負担してもらうために、個人の事情を考慮して所得から差し引くことができるものをいいます。扶養家族の数や年齢、災害などの損失、医療費、保険料などの負担を考慮します。
<人に対する控除>
(1)基礎控除 (2)扶養控除 (3)配偶者特別控除 (4)配偶者控除 (5)勤労学生控除
(6)寡婦(寡夫)控除 (7)障害者控除
<物に対する控除>
(8)寄付金控除 (9)生命保険料控除
(10)地震保険料控除 (11)小規模企業共済等掛金控除 (12)社会保険料控除
(13)医療費控除 (14)雑損控除
この所得控除をフルに活用することで税金をかける課税所得金額が少なくなるので、所得税の節税につながります。
まとめ
会社員の場合、会社で年末調整されるため、所得税のことを考える機会は少ないかもしれません。しかし、所得税の元となる「課税所得」を意識することは大切です。所得税だけでなく、住民税にも影響しますし、保育料や介護保険料など、税金以外に波及もします。身近な所得税の仕組みを知って、節税できるものはないか確認してみましょう。