給与とボーナスはどう違う?ボーナスにも課税されるのはなぜ?

給与とボーナスはどう違う?ボーナスにも課税されるのはなぜ?
給与・ボーナス

ボーナスをもらったら、何に使おうかと考えるだけでワクワクしますね。毎月もらう給与は、支払明細書から大体の手取り金額が把握できていると思います。しかし、毎月の給与の社会保険料や税金の額の大きさには、うんざりする人も多いのではないでしょうか。

また、夏・冬に支給されるボーナスについても、額面どおりにもらえるものではありません。特にボーナスは、あらかじめ受け取る金額がわかると、貯蓄や支出の計画も立てやすくなります。

今回は、給与やボーナスの違いや差し引かれる社会保険料や税金などのしくみを学んでいきましょう。

そもそも給与って、いったいなに?

「給料」とか「給料日」という言葉をよく使いますが、「給与」は何かと聞かれると少し戸惑ってしまいますね。給与とは、働くことの対価として支払われるものをいいます。残業代や手当、賞与も給与です。物での支給の場合もあり、金券などの現物支給も給与に含みます。

所得税法における給与所得は、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与にかかる所得をいう」とあります。働く場面によって同じ労働の対価でも呼び方が異なります。たとえば俸給は国家公務員に支払われる給料、歳費は国会議員に対して支払われる給費のことをさします。賃金は、労働基準法の中で用いられる用語で、労働の対価として使用者が労働者に対して支払うものすべてをいいます。

給与制度は、月給・日給・時間給・年俸などがあります。年俸は、年に1度支払われるイメージがありますが、1年あたりで給与額を決定する制度で、12回以上に分けて支給しなければなりません。仮に賞与を4か月分とする場合、年俸の毎月の給与は、16分の1ということになります。労働基準法では賃金の支払い方法について、現金で、本人に直接、全額、毎月1回以上、支払日を決めて支払う等の原則が決められています。

毎月の手取りは、給与から税金や社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料)を差し引いたものになります。

ボーナスとは? 給与とはどう違う?

ボーナスとは、ラテン語の「良い」という意味の「ボヌス」を語源としています。毎月の給与とは別に支払われるもので、一般的には一定水準以上の利益を上げた場合に、従業員等に利益を還元するために支払われる一時金のことをさします。

日本では、夏・冬に定期的に支払されることが多いので、賞与を当てにした「ボーナス払い」などのローンの組み方もあります。前出の給与は、毎月1回以上決まった日に支払う義務がありますが、賞与は法律で支払う義務は定められていません。ですから、賞与がない会社もあり、賞与を誰にいくら支払うのかは、企業が自由に決めることができます。

ただし、賞与の支払条件や規定などを就業規則や労働契約などで規定している場合には、支払う義務が生じます。賞与は、働くモチベーションにも影響することから、査定基準の明確化などの整備が必要になります。

民間企業の賞与額の計算方法として、基本給連動型賞与業績連動型賞与があります。基本給連動型賞与は、「給与の基本給〇か月分」などの基本額に対して、一律で数か月分を掛ける計算方法です。従来はこの方法が一般的な計算方法でした。

一方、業績連動型賞与は、経常利益や営業利益などの企業業績にしたがって、全従業員に支払う総額を決めます。それから、査定などに基づいて賞与総額を配分し、それぞれの従業員に個別の額を決めていく方法です。

一般的な事例では、毎月の基本給に成績や実績などの評価を加えて賞与額を決定することが多いようです。近年では、成果主義へ移行する企業が増え、「業績連動型賞与」を採用する傾向にあります。

これに対して国家公務員の賞与は法律で、地方公務員は条例で支給されるボーナスに決まりがあり、支給額は、「期末手当」と「勤勉手当」を合算したものになります。期末手当は、民間企業のボーナスの支給基準をもとに定率が決まり、勤勉手当は勤務成績の評価で支払われる金額が決まります。

また賞与の種類には、通常の賞与、決算賞与、寸志などがあります。業種によっては、大入りなどを手渡すところもあります。

通常の賞与は、ボーナスと呼ばれ、夏・冬の年2回支給されることが多くなっています。
決算賞与は、大きな利益を出した事業年度に企業の業績に応じて支払われる賞与のことで、「期末賞与」と呼ばれる場合もあります。現金だけではなく、金券や賞品券で支給することもあります。
寸志や大入りは、通常の賞与や決算賞与より金額が小さくなりますが、会計上は賞与とみなされます。

先ほども触れたように、給与もボーナスも所得税法上の「給与所得」なので、もらったボーナスの額面金額から税金の課税がされます。

給与・ボーナスからは何が差し引かれる?

実際、給与やボーナスをもらうと、税金や社会保険料が差し引かれて支給されます。給与とボーナスでは差し引かれるものが違い、計算方法も異なります。

●給与の場合に差し引かれるもの

・所得税
その月の給与から社会保険料等を控除した後の金額に応じて定められています。源泉徴収税額表のうち「給与所得の源泉徴収税額表(月額表・日額表)」を用いて計算します。

・住民税
前年の課税所得に対して税率10%の所得割額

・健康保険料
保険者で料率は異なります。協会けんぽ東京※の場合には、9.81%(労使折半します)。

・厚生年金保険料
18.3% (労使折半します)

・介護保険料
40歳以上は健康保険に上乗せして納付します。東京けんぽ※の場合には、健康保険料と合わせて11.45%になります。

・雇用保険料
0.9%(労働者0.3%、事業主0.6%の負担)が差し引かれます。

令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

●ボーナスの場合に差し引かれるもの

・所得税
前月の給与から社会保険料等を控除した後の金額に応じて定められている所得税率を掛けて計算します。源泉徴収税額表のうち「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。

「健康保険料」「厚生年金保険料」「介護保険料(40歳以上の場合)」「雇用保険料」の各保険料の料率は、毎月の給与の計算時と同じです。

ただし、賞与の場合には、支給する賞与額の1000円未満の端数を切り捨てた金額に各保険料率を掛けることになっています。

また、ボーナスからは住民税は差し引かれません。住民税は、前年の総所得から計算され、算出した税額を12か月で割り、月々の納付額を給与から天引きするしくみになっているからです。

それでは、同じボーナス額の場合、給与額の違いや扶養の有無によって税金がどう変わるのか、シミュレーションをもとに見ていきましょう。

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池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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