リタイアした人はどんな投資をしている? 不動産投資は年金がわりになるのか
リタイアしたら、時間もお金もゆとりのある暮らしをしたいと考える人は多いのではないでしょうか。忙しい毎日を振り返ると、むしろ、リタイア後だからこそ余裕を持ちたい、と考えるのは当然かもしれません。
そのためには、リタイア後も見越した資金計画が必要。そして、資金計画に投資は欠かせません。なぜなら、貯蓄だけではお金は増えないからです。一方、投資でお金を増やすことができれば、より豊かな生活が安心しておくれるのではないでしょうか。
今回は、リタイアした人がしている投資の調査結果から、不動産投資が老後の年金がわりになるのか、考えていきましょう。
リタイアが注目されている
リタイアは、定年間近の世代ばかりではなく、若い世代からも注目されています。
それは、「FIRE」がブームになったことからもわかります。FIREとは、Financial Independence, Retire Early の頭文字をとった、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉。経済的自立は、誰かに養ってもらうのではなく、自分で資金を確保できること、そして、早期リタイアは、定年退職の年齢をまたずに退職しリタイアすることです。
FIREで考える早期リタイアは、宝くじに当たるとか、多額の遺産を相続したなどの特別な事情がなくても、計画的な資産運用で可能であるとしています。
では実際に、どのような資産運用をしているのでしょうか。
ソーシャルレンディングサービスを手掛ける株式会社LENDEXの調査によると、早期リタイアをした人のリタイア後の収入は、株式投資、不動産投資が多いことがわかりました。
詳しくみていきましょう。
参考:株式会社LENDEX「リタイア前から株式投資で利益を得ていた方は4割以上!リタイア後のことを考えた有効な資産形成とは?」
リタイアした人はどんな投資をしている?
同調査は、2022年5月、早期リタイアをした人を対象に調査をしました。調査結果からは、どのようにリタイア準備をして、リタイア後の資金を確保しているのかがわかります。
リタイアまでの年数と、リタイア時の総資産
社会人として働き始めてからリタイア(もしくは独立)するまでにかかった年数については、15年~20年未満が25.8%、20年~25年未満が24.4%と、約半数が15年~25年未満の範囲であることがわかりました。
つまり、30~40代でリタイアを実現したと考えられます。
リタイア時の総資産については、2,000万円未満が42.2%と最も多く、ついで2000万円~2999万円が14.6%、5000万円~5999万円が13.1%と続きました。
5000万円以上の資産があったのは全体26.0%と全体の約4分の1です。
決して多額の資産を持たなくても、リタイアは可能であると読めます。
リタイア前の給与以外の収入源
リタイア前、給与以外の収入源は特にないと答えた人は22.2%で、多くの人が給与以外の収入源を持っていました。
株式投資は46.3%、不動産投資は26.5%、副業は24.7%です。複数の収入源を持つことは、リタイアに向けた資金づくりに弾みがつきます。
さらに、給与以外の安定した収入が確保できれば、退職が現実的な選択肢になってくると考えられます。
リタイア後の収入源
そして、リタイア後も、株式投資や不動産投資は収入源として位置付けられています。
リタイアをした、現在の主な収入源については、株式投資が50.4%、不動産投資が32.4%との回答を得ています。
調査は早期リタイアをした人が対象なので、公的年金は回答に入っていませんが、老後になり、これらの収入に年金が加えられれば、まさにゆとりの老後生活がかなうのではないでしょうか。
リタイア前の資産はどうしているか
リタイア前に投資していた資産は、リタイア後の現在どうしているか、との問いには、「引き続き保有しており、しばらく売却する予定はない」との回答が34.3%と最多でした。続いて「既に売却し、新たな投資のために活用した」が22.3%、「既に売却し、貯蓄している」が21.6%です。
複数回答なので合計は100.0%にはなりません。資産ごとに、保有し続けていたり、売却して別の投資をしたり、貯蓄にまわしたり、といった状況のようです。
この調査結果から、リタイア前から資産運用をはじめ、スキルアップを重ねながらリタイア後も資産運用を続ける、というスタイルが調査結果から見えてきます。
リタイアを機に、退職金や貯蓄を元手に投資デビューするのではなく、リタイア前から着々と投資スキルを磨き、資産づくりをしているのですね。
不動産投資は「私的年金」がわりになる
リタイア後の投資は、株式投資と不動産投資が2トップでしたが、老後になっても続けていきやすい投資はどちらでしょうか。
老後世代には、あまり手間がかからず、定期的に安定した収入が得られる投資が適しています。
株式は価格が日々変動し、その変動も時に大きなものになるので、定期的にチェックする必要があります。また、収入については、株式の値動きや投資先の企業の業績によって変動し、利益が安定しているとは言い難いでしょう。
一方、不動産投資で得られる家賃収入は、基本的に毎月同じ金額が安定して得られます。
この「毎月安定して収入がある」点は大きなメリットであり、公的年金を補う、私的年金がわりにすることができます。
公的年金の金額は、毎年見直しされています。物価が高くなって生活費が増えたら、それまでと同じ年金額では困ってしまいます。そこで、物価が高くなれば、それに合わせて年金額も増えるようになっています。
しかし、年金の金額を決めるのは物価の変動率だけではありません。現役世代の賃金も考慮されているのです。
年金は、現役世代が払った年金保険料を、高齢世代に仕送りするような仕組みです。少子高齢化によって現役世代の負担が重くなると、世代間の不公平感が大きくなり、年金制度の持続性が危ぶまれてしまいます。
そのため、現役世代の賃金が下がると年金金額も下がります。
そして、物価が上がっても賃金が下がれば、賃金の変動を優先して年金も下がる仕組みです。実際、国民年金の金額は2年連続で減少しています。
日本は長らくデフレでしたが、世界のインフレに影響を受けて今後インフレが進めば、物価は高くなるのに、大切な収入である年金は少なくなる、という事態になってしまうということです。
そこで、考えたいのが私的年金がわりになる投資、不動産投資です。
不動産投資は、まず、投資物件としてワンルームマンションなどを購入します。購入資金は投資用住宅ローンを利用して購入できます。その後、賃貸に出して家賃収入を得ます。
ローン返済は、家賃収入を充てるので返済計画も立てやすいでしょう。
ただし、安定した家賃収入を得るためには、物件の立地や間取りなどしっかりチェックして、空室期間を短くしなくてはなりません。いくら安い価格で購入できる物件でも、駅から遠かったり、暮らしにくい間取りだったりすると入居者が決まらず空室期間が長くなってしまいます。
このようなことは、購入時にしっかり見極めたうえで決めますが、その後もメンテナンスを丁寧にするなど、物件の価値を落とさないようにします。
そして、ローン返済が終われば、安定した家賃を丸ごと収入にすることができます。
毎月決まった収入になりますから、不動産投資は私的年金がわりとして、老後の暮らしに安心感をもたらすのではないでしょうか。