いよいよ高校授業で金融教育開始!気になる内容を徹底解説
どんな授業が行われている?先駆け金融授業を紹介
2022年4月からの金融授業本格化に先駆けて、独自の金融授業をスタートさせている高校もたくさんあります。ここでは、その中から特にユニークな授業をピックアップしてご紹介しましょう。
「人生すごろく」でリスクに対する備えを学ぶ
第一生命保険株式会社が中学校・高校の金融授業用に展開しているのが「ライフサイクルゲーム」という教育プログラムです。すごろく形式のゲームを楽しみつつ、人生の様々なリスク及びそれに対する知識や備えを学ぶことを目的に作成されました。
ゲームでは就職や結婚、マイホームの購入などのライフイベントや病気・災害、架空請求詐欺などの消費者被害といったさまざまなリスクを疑似体験できます。ゲームをすすめることで、お金の大切さや将来への備えの重要性を学ぶことができるのです。さらに消費者被害に遭わないための心構えや、被害に遭ってしまったときの対処法も具体的に知ることができます。
また、生徒たちに将来のライフイベントを想定した「人生すごろく」を作成させ、イベントが起こったときに発生するリスクとその対処法を考えさせる、という授業を行う学校もあるようです。
「人生すごろく」で生徒たちは、人生の段階ごとに起こるリスクを理解し、解決する方法を学習すると同時に、資産形成や社会保障制度、世の中の「自助・共助・公助」の全体像についての理解も深めていきます。
起業シミュレーションで企業と金融の関係を学ぶ
「起業」をシミュレーションすることで、会社の組織や形態、金融の果たす役割について理解を深める授業を行った学校もあります。
生徒5~6人でグループを組み、アイデアを出し合って自分たちの会社を作成。この時、会社の資本金や経営理念、会社設立時の資金調達方法なども具体的に考えます。
その後、グループごとに新会社の事業説明として定款(ていかん)や事業計画書等をプレゼンテーション。また他のグループのプレゼンテーションを聞いて、どの会社に投資するかなども考えます。
生徒たちはこのシミュレーションを通じて、企業経営者として資本金・運転資金はどう調達するかを考え、企業の経営方針や社会的責任についてより深く考察します。また社債や株式を購入することで、金融の果たす役割、金融における自己責任などについて理解する機会を得るのです。
クレジットカードの仕組みや理解を深める
クレジットカードの仕組みについて学ぶことによって、適切な消費能力を育成する授業を展開している学校もあります。
生徒たちは事前に「クレジットカードの申込書」を学校へ持参。授業ではまず、クレジットカードの歴史や機能などの基礎知識を学習し、その後、生徒たちは信販系、銀行系、流通系など、カードの申込書別グループに分かれます。
グループに分かれた生徒は、自身のグループの入会申込書を読み、年会費や特典ポイント、手数料などを比較したうえで入会したいカードを選択。ワークシートに規約や特約、約款、利子など細かい部分までワークシートにまとめます。
ワークシートにまとめたら、実際に入会申込書に必要事項を記入(名前・住所等は適宜変更)。またクレジットカードを3枚選択しそれぞれの特徴やデータを比較したうえで、自分の消費生活に最適なクレジットカードはどれかを考えていきます。 このように実際にクレジットカードを比較選択することで、賢く選択する消費能力や自分の経済生活に見合った責任ある消費行動を行う力を養うのです。
大人も「金融の勉強」をスタートしてみよう
2022年4月から本格的にスタートする高校の「金融教育」の背景には、日本人の金融リテラシーの低さ、将来の年金制度への不安など、さまざまな問題があることがわかりました。
これらはこれから高校生になる子供たちだけでなく、私たちも「自分のこと」として考える必要がある問題。この機会に、是非皆さんも「金融の勉強」をスタートさせてみませんか?