【Z世代のマネー学】米国株の配当金には税金が二重でかかる? 税金を減らすにはどうしたらいい?

米国株の配当金には税金が二重でかかる? 税金を減らすにはどうしたらいい?
マネーケア

一般NISAを使った場合、米国株の税金はどうなる?

上の計算例を見て、「それでも20.315%の税金がかかるのか」と思われた方もいるでしょう。確かに、米国での税金の還付がきちんと行われたとしても、現状のルールでは、税引前の配当金10万円は、約8万円になってしまいます。

これを減らしたい場合、一般NISAを利用する手もあります。

一般NISAは、年間120万円までの投資で得られた利益にかかる20.315%の税金を5年にわたって非課税にできる制度です。一般NISAでは、米国株を買うこともできます。

しかし、日本の税金がかからないということは、二重課税にならないということでもあります。確かに一般NISAによって、日本の税金にあたる20.315%の税金はゼロになりますが、今度は米国で配当金にかかる10%の税金がかかるようになってしまいます。ですから、残念ながらそのまま10万円を受け取ることはできません。

●一般NISAを利用した場合の税額は?

図:筆者作成

一般NISAの場合は米国の税金だけがかかるので、税額は10万円×10%=1万円。つまり、手取りは9万円になります。

ここだけ見ると一般NISAで投資した方が良さそうですが、一般NISAでは損益通算や繰越控除を利用することもできないことに留意しましょう。仮に一般NISAで損失を抱えても、他の投資の利益と相殺したり、損失を繰り越したりすることはできないのです。

そのうえ、一般NISAは2023年までの制度。2024年からは一般NISAが「新NISA」(仮称)となり、制度が少々変わります。しかし、新NISAも2028年までで終了することになっています。もしみなさんが「配当金を得るために長期間投資したい」と考えるのであれば、一般NISAは向かないでしょう。

確定申告はどのようにするの?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、申告・納税する手続きのこと。個人事業主やフリーランスとして活動している方は、毎年原則2月16日〜3月15日の間に確定申告を行い、正確な所得税を計算して、納税します。

会社員や公務員の方は、毎月の給与から概算の所得税が天引きされています。毎年末に勤め先で行う「年末調整」という手続きで過不足を調整して納税の手続きが終わりますので、基本的には確定申告をする必要はありません。しかし、たとえ年末調整をしていても、「確定申告をしてはいけない」というわけではなく、確定申告をした方がお得になったり、確定申告をしなくてはいけなかったりする場合もあります。

今回紹介した外国税額控除は、「特定口座(源泉徴収あり)」を開設していても、「確定申告をした方がお得」。特定口座(源泉徴収あり)で源泉徴収されるのは売却益に対する税金だけです。配当金は源泉分離課税となっていて、総合課税か申告分離課税かを選択することになります。人により、どちらが有利かは異なりますが、いずれにせよ確定申告をしないと外国税額控除を受けることはできません

ですから、会社員・公務員であっても、該当する方はきちんと行いましょう(なお、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の場合は、原則として確定申告が必要です)。

「e-Tax」を利用すれば、スマホやパソコンで所定の書類を作成し、手続きできます。もちろん、最寄りの税務署などで相談して手続きすることも可能です。

確定申告で外国税額控除を受ける際には、「外国税額控除に関する明細書」を作成して、提出する必要があります。外国税額控除に関する明細書は、国税庁のウェブサイトよりダウンロードできます。この明細書に、証券会社から送られてくる配当金の支払通知書などに記載された金額を記載し、確定申告書ともに提出します。

面倒に思われるかもしれませんが、二重課税をなくし、手取りを増やすためです。ぜひ毎年手続きするようにしましょう。

最後に、米国株投資におすすめの証券会社を紹介します。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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