【Z世代のマネー学】資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」
投資の利益には税金がかかる!
手数料と並んで大切なのが、税金です。投資で得られた利益には、所定の税金がかかります。
主な金融資産の利益にかかる税金
表:筆者作成
表にあるとおり、預貯金・株式・債券・投資信託・外貨預金・FXの利益には、20.315%の税金がかかります。これは「源泉分離課税」といって、他の所得とは関係なく税金がかかることになります。1年間で得られた利益(資産を売るなどして生じた「実現益」)が20万円以下の場合は、原則として税金はかかりません。しかし、20万円を超える場合には、20.315%の税金がかかるというわけです。
「預貯金でも税金がかかるの!」と驚かれる方もいるかもしれませんが、預貯金で得られる利息にも20.315%の税金がかかり、源泉徴収されます。たとえば預金金利が年0.001%のとき、100万円預けて得られる利息は年10円。この10円にも税金がかかるので、実際に振り込まれる利息はわずか8円になってしまうのです。
不動産投資・仮想通貨・ソーシャルレンディングといった投資では、「総合課税」という方法で課税されます。これは、働いて得た給料など、他の所得と合わせて課税される投資です。
このうち、住民税はほとんどの場合一律で10%ですが、所得税は合計の所得によって税率が5%〜10%の7段階に変わります。所得が少なければ、所得税5%・住民税10%、合計15%で済むかもしれません。しかし、仮に大儲けした場合は最大で所得税45%・住民税10%、合計で55%も課税されることに。なんと税金だけで半分以上も引かれてしまいます。
また、生命保険の満期保険金や死亡保険金、個人年金などには、契約者・被保険者・保険金の受取人などの関係に応じて、贈与税や相続税がかかる場合もあります。贈与税や相続税は、一定の金額まで非課税になる「基礎控除額」が定められています。受け取る金額がこの範囲内ならば税金はかかりませんが、この金額を上回る場合は、税金がかかってしまいます。
さらに、生命保険の解約返戻金(生命保険を解約したときに戻ってくるお金)が払い込んだ保険料よりも多かった場合にも、利益の部分には税金がかかります(利益がない場合はかかりません)。こちらも、贈与税や相続税と同様に、一定の金額まで非課税になる「特別控除」が定められており、その範囲内で収まるならば税金はかかりませんが、上回る場合は税金がかかります。
話を投資信託に戻しますが、投資信託は「源泉分離課税」ですから、利益に対して20.315%の税金がかかることになります。
単純計算ですが、前項で紹介したファンドAを全額売った場合、1526万円から元手の1080万円を引いた446万円(利益)に対して20.315%の税金がかかることになるので、税額はなんと約90.6万円! 最終的な手取りの利益は355万円ほどになってしまいます。確かに資産は増えましたが、90万円以上も引かれてしまうのはもったいなく感じるのではないでしょうか。