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【Z世代のマネー学】老後資金2000万円問題とはなんだったのか。本当に必要な資金はいくら?どう準備する?

老後資金2000万円問題とはなんだったのか。本当に必要な資金はいくら?どう準備する?
マネーケア

自分の老後資金を計算してみよう

まずは65歳以上の収入です。みなさんは、将来どのくらい公的年金をもらえるかご存じですか。毎年誕生日近くに届く「ねんきん定期便」には、50歳未満の方の場合は「現時点で受け取った場合の年金の金額」しか書かれていません。ですので、老後にもらえる金額とはずいぶんと違う(安い)はずです。詳しいシミュレーションは「ねんきんネット」でできますが、ここは、下で紹介する早見表を使ってざっくりと計算してみましょう。

公的年金には、20歳以上の国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金があります。このうち、国民年金は40年間フルで年金保険料を支払った場合、受け取れる年金の額は78万900円(2021年度)です。

対する厚生年金は、加入期間と年収によって、概算の金額が異なります。そこで使っていただきたいのが次の表です。

もらえる年金額の早見表(国民年金+厚生年金)

もらえる年金額の早見表(国民年金+厚生年金)
※国民年金満額(780,900円)と厚生年金の合計金額
※計算結果は目安です

たとえば、平均年収400万円の方が厚生年金に35年加入していた場合、65歳から毎年もらえる年金額はおよそ1,540,600円となります(国民年金の満額780,900円を含んだ金額)。これを12で割って月額換算すると、約128,000円とわかります。

対する毎年の老後の支出は、おそらく想像がつかないでしょう。総務省「家計調査」(2019年)によると、老後(70歳以上)の生活費は現役世代(50〜59歳)の生活費の68.1%と示されているので、大まかに今の生活費の70%で計算すればいいでしょう。

毎年の老後の収入から老後の支出を引くと、年金では足りない金額がわかります。また、95歳まで30年間生きると仮定して、毎年の不足分を30倍すると、65歳から95 歳までで不足する金額がわかります。退職金がある場合は、この金額から引いてください。

さらに、もしもの病気や介護に備えるお金として、できれば、1人500万円を見込んでおきたいところです。シングルなら500万円、夫婦なら1,000万円という具合です。

これらを合計した金額が、みなさんが老後に用意したい老後資金となります。

老後まで貯めたいお金はいくら?

老後まで貯めたいお金
※65歳まで働き、退職金がない場合で試算

老後資金を準備するにはどうすればいい?

老後資金は年金だけでは足りなくなることを紹介しました。では、老後資金を用意するためにはどうすればいいのでしょうか。キーワードは2つあります。「長く働き続ける」と「お金自身に働いてもらう」の2つです。

①長く働き続ける
「人生100年時代」と呼ばれるようになった今、60歳で定年を迎えても、100歳までまだ40年もあります。そのなかで、長く働くことがひとつの鍵となります。すでに「高年齢者雇用安定法」によって希望すれば65歳まで働けるようになっていますし、2021年4月からは企業に70歳までの就業機会を確保することが努力義務となります。働いて、年金とは別の収入があれば、その分生活が安定するでしょう。

また、65歳からの年金の受け取りを後回しにする(繰下げ受給)をすると、1ヶ月繰り下げることで将来受け取れる年金額が1ヶ月あたり0.7%増えます。現状、最大70歳まで繰り下げることで、年金を65歳受け取り時点より42%増やすことが可能です(2022年4月より、最大75歳まで繰り下げ可能。年金額は84%増加します)。受け取れる年金が増えれば、その分ゆとりもできます。

もっとも、歳を重ねてなお働き続けるには、社会にとって必要とされる存在でなくてはなりません。知識やスキルを磨くとともに、人間関係や信頼関係といった、見えない資産を築き続けることが必要です。さらにもちろん、健康であることも大切です。自分を磨き続けることが必要となります。

②お金自身に働いてもらい、老後資金を増やす
冒頭でも触れているとおり、お金は銀行に預けるだけではまったく増えません。投資をすることで、自助努力で老後資金を増やすのもひとつの方法です。

なかでも、税金を減らしながらじっくりとお金を用意できる制度を使うのがおすすめです。その代表として、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とつみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)があります

iDeCo

公的年金をカバーするために、公的年金に上乗せできる「私的年金」の制度がいくつかあります。iDeCoは、そうした私的年金の制度のひとつです。
iDeCoでは、毎月一定の掛金を支払って自分で運用し、資産を増やします。そして増えたお金を、老後(60歳以降)に受け取ることができます。20歳から60歳までの方であれば、ほぼ誰でも加入できます。

iDeCoの大きなメリットは、3つのタイミングで税金が節約できることです。
まず、毎月支払う掛金が全額所得控除になります。つまり、毎年の所得税や住民税を減らすことができます。自分のためにお金を貯めながら、税金も減らせるのです。
次に、運用によって生まれた利益が非課税になります。通常、投資の利益には20.315%の税金がかかるのですが、それがゼロになるので、効率よくお金が増やせます。
そして、受取時に「退職所得控除」または「公的年金等控除」という税制優遇を受けることで、税金の節約ができます。

60歳まで引き出せないことがデメリットと語られることもありますが、老後資金を貯める目的ならばむしろ好都合。老後のお金を堅実に用意できます。

つみたてNISA

つみたてNISAも、投資で得られた利益を非課税にできる制度年間40万円までの投資で得られた利益を最長20年間非課税にできます。
つみたてNISAで投資できるのは、金融庁の一定の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)。長期間積み立てと分散投資ができる商品のみです。これにコツコツと、積立投資をしていきます。金融庁の基準を満たすから絶対値上がりする、というものではありません。しかし、手数料が安くてシンプルな商品が多く、資産を堅実に増やすのに向いています。

つみたてNISAには掛金の控除や受取時の優遇はありませんが、預けたお金は自由に引き出し可能。老後資金を貯めるためにスタートしたものの、急にどうしてもお金が必要になった…という場合にも対応可能です。

今回はミレニアル世代にも関心が大きい「老後資金」について、お話ししてきました。
老後資金2000万円問題とはなんだったのか。本当に必要な資金はいくらなのか、どう準備すれば良いのか、本記事が参考になれば幸いです。
若いうちから時間をかけて取り組むことで、老後資金は堅実に貯められます。ぜひ投資をスタートさせてください。

【Z世代のマネー学】資産運用の結果に影響を及ぼす「金融商品のコスト・税金」

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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