積立貯金しすぎで積立貧乏?現在と将来にかけるお金のバランスとは

積立貯金しすぎで積立貧乏?現在と将来にかけるお金のバランスとは
マネーケア

いつしか目的が貯金に…生活費を切り詰めるように

あれ…手元に残るお金が少ない?貯金の目的は何だっけ?

目的は老後とマンション購入の資金形成だったはずが、いろいろな積立貯金に手を出しているうちに、いつしか“貯金すること”が目的になっていたAさん。少しやりすぎかもしれないけれど、とりあえず将来の資金はなんとかなる、そう思っていたのですが……。

あるとき、毎月恒例になっていた給料日後の同僚との飲み会の前に、お財布に現金を補充しておこうと銀行に立ち寄り記帳すると、給料日だったはずの通帳の残高がなんと4万円ほどしかありません。それもそのはず。家賃や光熱費、保険料、クレジットカード代金といった引き落としに加え、いろいろな積立貯金が引き落とされ、現金として残ったのがたった4万円ほど、というわけだったのです。

これでは、食費や交際費、現金が必要なときやその他支払いなどで、あっという間になくなってしまいます。こうしてAさんは生活費を切り詰めるほかなく、食費はできるだけ抑える、月に1度の同期会の参加を止める、趣味のヨガ教室通いを休止するなどし、気がつけば会社と家の往復のみの生活になっていました。

ついに不安が現実に…!お金がない!!

将来のために仕方なしと考え、切り詰めた生活を送っていたAさんですが、飲み会を断ったり楽しむ同僚を見たりするのが、次第に辛くなってしまいます。極めつけは、友人の出産祝いにも困ってしまったこと。すぐ引き出せる貯金をしていなかったため、余分なお金はありません。

このときは、見かねた友人がお金を貸してくれ事なきを得たAさん。しかし、「生活費を切り詰めて貯金して、今の生活がおろそかになっているのはおかしい!」との言葉を受け、現在積立しているもののどれかを止めることを決意したのでした。

3つの積立からやめるものを検討するも…

<iDeCoは60歳から、目的外の年金・住宅の財形の引き出しは非課税…>
友人の助言に納得したAさんは、どれをやめるか検討し始めました。iDeCoは60歳からしか引き出すことはできません。年金・住宅の財形貯蓄も、目的外の引き出しは非課税とならず、今解約するのは損になるとのこと。

<つみたてNISAは今やめると損かも>
つみたてNISAは、いつでも自由に引き出すことができる商品ではありますが、あくまでも投資であるため、引き出したいときが売りどきであるかどうかは分かりません。Aさんの購入した商品を調べてみると、今解約すると損なタイミング……。Aさんは頭を抱えることとなってしまいます。

手元に残すお金と貯めるお金のバランスを再検討

悩みに悩んだAさんは仕方なく、損を覚悟でつみたてNISAをやめ、iDeCoの掛け金を5千円に変更することにし、とりあえずは積立貧乏を脱却することができました。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄はそのまま継続し、ひとまずは生活費の確保といつでも引き出せるある程度のお金を貯めることにしたそうです。

そして、「今を楽しめないと将来お金があっても楽しめないかもしれない」と考え直し、飲み会への参加やヨガ教室も再開。こういった日々の楽しみが生活の活力になっていることを再認識するきっかけにもなりました。

Aさんの失敗は、将来への不安とお得な制度だから使わないともったいない!という考えのもと、今使うお金と貯めるお金のバランスを考えなかったこと。お金を貯めると確かに将来は楽になりますが、今をきちんと暮らすことも大事ではないでしょうか。まずは手元に残すお金を検討し、その上で貯金や投資に回すお金を検討してみてください。

王道の積立貯金もやりすぎはNG!バランスを見極めて

積立貯金は確実にお金を貯めるひとつの方法ではありますが、なんでもやりすぎはよくありません。Aさんのように将来を心配するあまり、いつの間にか現在の生活が窮屈になってしまう人も少なくないようです。

貯蓄や投資で良さそうものを見つけたときは、お得な制度だからと飛びつくのではなく、手元に残すお金と貯金や投資に回すお金のバランスをきちんと見極めて選んでくださいね。

みなりこ

金融系の事務職を経て現在はライターとして日々精進しています。 トレンドを探るのが大好きで、ファッションや美容、金融など、幅広いジャンルを執筆。 子どもとの時...

プロフィール

監修者: 千見寺 拓実

株式会社インヴァランス 1994年生まれ。静岡大学卒業。2017年に株式会社インヴァランスに入社。 2級ファイナンシャルプランニング技能士

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