転職を考える人に 退職金と税金についてわかりやすく解説
転職する際に貰う退職金ですが、臨時ボーナスのようで貰うだけで嬉しくなりますよね。しかし、転職の際に支払われる退職金にも税金がかかってくるのをご存知でしたか?
転職時の退職金や税金について、具体的な数字を挙げて解説します。
退職金ってどれくらいの金額をもらえるの?
退職金とは、勤続に対して報奨する、つまり長い期間勤めたことに対するご褒美のお金です。
以前は、新卒で入った会社に定年まで勤める人が多かったので、退職金といえば定年のときにもらって老後の生活設計に組み込むというイメージでした。2019年の現在は、転職が珍しくなくなったことで、今辞めると退職金をいくらぐらいもらえるのだろうと考える社員も出てきています。
退職金の平均的な相場ですが、東京都産業労働局が公表している「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」*によると、高卒で勤続10年の場合、自己都合退職であれば約90万円、会社都合退職で約123万円となります。
また、大卒で勤続10年の場合、自己都合退職であれば約122万円、会社都合退職であれば約157万円となっています。この数値は従業員が10人~299人の東京都の中小企業の統計を取ったもので、企業規模や地域、勤続年数や基本給によって差が生じます。
中小企業の退職金
*データ引用:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」
しかし、退職金は何年か勤めれば必ずもらえるというものではなく、勤務先の会社に退職金制度があるのが前提です。退職金制度がない会社ですと、何十年も勤めても、残念ながら退職金はゼロということになります。
退職金制度があるとして、どのぐらいの金額をもらえるかはその会社の規定次第で、ひと月分の基本給×勤続年数×給付率という計算式で算出されるのが一般的です。
給付率は、一例として、勤続5年で自己都合の退職だった場合36%、会社都合だった場合51%というのが目安になります。ただし、勤続10年以上からしか退職金が出ないといった制度を設けている会社もあるので、注意しましょう。
退職金には税金はかからないの?
退職金にも税金はかかりますが、給与所得に控除があるように退職金にも所得控除があります。退職金は退職所得という所得に分類され、給与所得とは別の扱いになります。また、この退職所得控除額というのは、勤続年数によって計算式が変わります。
勤続年数が20年以下の場合の退職所得控除額
40万円×勤続年数
勤続年数が20年超の場合の退職所得控除額
800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
ちなみに、勤続年数は切り上げで考えるので、たとえば勤続年数が5年4か月の人の場合には勤続年数は6年ということになります。なお、退職の原因が障がい状態になったことである場合には、退職所得控除額は100万円を上乗せした金額になります。
前章でお伝えした退職金の計算式の一例で言うと、例えば勤続5年で基本給が20万円の場合、会社都合退職で20万円(基本給)×5年(勤続年数)×0.51(給付率)=51万円ですね。
退職所得控除額の方は、20年以下なので40万円×5年(勤続年数)=200万円となりますので、51万円は控除額の範囲内、つまり退職金にかかる所得税や住民税はゼロです。
続いて、確定申告することで税金が戻ってくるケースを確認してみましょう。