「投資が必要」だけど「やり方がわからない」人は何からすればいいのか

「投資が必要」だけど「やり方がわからない」人は何からすればいいのか
マネーケア

投資の基本は「長期・積立・分散」投資

お金を減らさず、堅実に増やす投資で大切なのは、「長期・積立・分散」投資を実践すること。長期・積立・分散投資は、投資の基本ともいえる考え方です。

長期投資は、数十年など長い期間で投資を行うことです。短い期間で投資を行う短期投資では、一時的な値動きの要因でお金を大きく減らしてしまう可能性があります。しかし、数十年という長い期間で投資すれば、リスクを押さえて世界経済の成長とともに利益を得る期待ができます。

また、長期投資は複利効果を生かしやすいのもメリット。複利効果とは、運用で得た収益や利息を投資に回すことで、投資したお金に利息がつく効果です。長期間じっくりと投資するほど、複利の恩恵は大きくなります。

積立投資は、定期的に一定額ずつ投資することです。積立投資を続けると、商品の価格が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わなくなるため、平均購入単価を下げることができます。これをドルコスト平均法といいます。平均購入単価が下がるほど、値上がりしたときに利益を出しやすくなります。

もしも、あらかじめ値上がりする金融商品がわかっているならば、はじめからその金融商品に一括投資したほうが儲かります。でも、その金融商品が値上がりするかは事前にはわかりません。ですから、積立投資をしたほうがいいというわけです。

そして分散投資は、値動きの異なる複数の資産に投資することです。昔からある投資格言に「たまごは1つのかごに盛るな」というものがあります。たまごをひとつのかごに盛っていると、かごを落としたときに全部割れます。でも、たまごが複数のかごに分けてあれば、そのうちのひとつを落としたとしても割れるたまごは少しで済みます。

投資もこれと同じで、投資先の資産を複数に分けておくことで、どれかが値下がりしても他のどれかの値上がりでカバーすることができる、というわけです。たとえば、株式と債券は逆の値動きをすることで知られています。ですから、株式と債券の両方を持っていれば、値動きが安定します。

これらに加えて、投資にかかるコストや税金も重要。投資の利益は投資してみないとわかりませんが、投資にかかるコストや税金は安ければ安いほど利益が大きくなります。なるべく低コスト・非課税でできる方法を優先したほうがいい、というわけです。

自分のリスク許容度を知っておこう

投資における「リスク」とは、「リターン(収益)の振れ幅」のことです。具体的には

・リスクが大きい=値動きの振れ幅が大きい
・リスクが小さい=値動きの振れ幅が小さい

ということを表します。

リスクは、投資先の商品によって異なります。一般的に、債券より不動産、不動産より株式の方がハイリスクだといわれています。またリスクは投資先の国によっても異なり、国内より先進国、先進国より新興国の方がハイリスクとされています。

また、投資先を選び、資産配分を決めるにあたっては、自分のリスク許容度を知ることが大切です。リスク許容度とは「どのくらいまで損しても大丈夫か」を表す指標です。

リスク許容度は、収入・資産・年齢・投資経験・リスクに対する気持ちなどによって変わるため、人によって異なります。一般的に、収入が多いほど、資産が多いほど、年齢が若いほど、投資経験があるほど、リスク許容度が高いとされています。

【結論】つみたてNISAで少額からコツコツ投資を始めよう

以上を踏まえて、「投資のやり方がわからない」人におすすめの投資は、「つみたてNISA」を利用して、少額からコツコツと行う投資です。コア資産は、まずはつみたてNISAで築いていきましょう。

つみたてNISAは、年間40万円までの投資で得られた利益を最長20年にわたって非課税にできる制度です。投資の利益には通常20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAで投資して得られた利益は非課税なので、効率よくお金を増やせます。現状、つみたてNISAで新規に投資ができるのは2042年まで。2022年にスタートすれば、合計840万円まで非課税で投資ができます。

つみたてNISAで投資する商品は、金融庁の一定の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)のみ。手数料が安く、長期積立投資でお金が増やしやすいと考えられる商品が揃っています。しかも、楽天証券、SBI証券、マネックス証券といったネット証券を利用すれば、毎月100円からでもスタート可能。一度積立投資の設定をすれば、あとは自動的に毎月投資信託が買い付けられていきます。値下がりが心配という方でも、100円程度の少額なら気軽に始めやすいでしょう。

もっとも、100円だけでは増える金額もそれほど多くないので、慣れてきたら、徐々に金額を増やしていきましょう。つみたてNISAの投資上限額は年40万円までですから、月に直すと3万3000円程度です。まずはこの上限額までつみたてNISAを活用することをめざしましょう。

すでにご紹介したとおり、投資信託は1本でさまざまな資産に分散投資している商品です。そのなかでも、バランスファンドは1本で複数の資産に分散投資しているため、より幅広い資産に分散投資ができ、堅実に増やせます。初心者であれば、まずはバランスファンドを1本選んで買ってみるのがいいでしょう。

たとえば、次のようなバランスファンドがおすすめです。なお、データは2022年8月4日時点の情報です。

●eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

純資産総額:1564.10億円
基準価額:13,620円
信託報酬(年率・税込):0.154%
トータルリターン(3年・年率):7.47%

●ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

純資産総額:228.94億円
基準価額:14,444円
信託報酬(年率・税込):0.154%
トータルリターン(3年・年率):8.16%

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は国内・先進国・新興国の株と債券、国内・海外の不動産の計8資産に12.5%ずつ投資。ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)は国内と外国の株式と債券の計4資産に25%ずつ投資します。債券の比率は「ニッセイ」のほうが多いので、「ニッセイ」のほうがリスクは低め。リスクを押さえて安定的に運用したいなら「4資産」、もう少しリスクをとってリターンを狙いたいなら「8資産」を選びましょう。

さらに、もっとリスクをとってもいい(リスク許容度が高い)ならば、比較的リスクの高い「世界株型」「先進国株型」「米国株型」「新興国株型」など、株式にのみ投資する投資信託を購入してもいいでしょう。

投資で堅実にお金を増やしていくには、何よりも、早く始めてじっくり取り組み、長く続けることが大切です。「投資が必要だけど、やり方がわからない」と悩んでいる方には、まずはつみたてNISAを始めて、少額からコツコツ投資することがおすすめ。金融機関に口座を開設し、資産を増やす行動をスタートさせましょう。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

プロフィール

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