年収1000万円でも「老後破綻」 投資で資産をいくら補える?

年収1000万円でも「老後破綻」 投資で資産をいくら補える?
マネーケア

定年を迎えると、年金や貯蓄だけで生活することになります。このとき、収入よりも支出が増えて、家計が赤字となってしまう状態を「老後破綻」といいます。老後破綻は、誰にでも起こる可能性があります。たとえ今年収1000万円であっても、老後破綻の恐れがあるのです。
今回は、老後破綻の実態と老後破綻が起こる理由、そして老後破綻を防ぐために投資することで資産をいくら補えるのか、老後破綻を防ぐためにできることをまとめて紹介します。

老後破綻している世帯はどのくらいあるのか

2019年にいわゆる「老後2000万円問題」が話題になったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。老後の生活費は公的年金だけでは用意できず、おおよそ2000万円足りなくなる…という内容でした。老後を迎えるまでに2000万円用意できなければ老後破綻するのかと、衝撃を受けた方も少なくないでしょう。

老後破綻している世帯を数える統計はありませんが、目安として生活保護を受けている高齢者世帯を調べてみましょう。

厚生労働省「被保護者調査」(令和4年3月分概数)によると、2022年3月時点で生活保護世帯(保護停止中を含まない)は約163.5万世帯あります。その内訳を見ると、

高齢者世帯 約91.3万世帯(55.9%)
単身世帯 約84.3万世帯(51.5%)
2人以上の世帯 約7.1万世帯(4.3%)

高齢者世帯を除く世帯 約72.2万世帯(44.1%)
母子世帯 約6.8万世帯(4.2%)
障害者・傷病者世帯計 約40.4万世帯(24.7%)
その他の世帯 約25万世帯(15.3%)

となっています(上記データは千の位を四捨五入して作成)。

生活保護を受けている世帯のうち、約91.3万世帯は高齢者世帯。しかもそのうち約84.3万世帯は高齢の単身世帯となっています。

生活保護は、生活できるほどの収入や資産がなく、経済的に助けてくれる親族などもいない人に対してお金を給付し、最低限度の生活を保障する制度です。生活保護の基準を満たせば、生活費はもちろん、住宅費、医療費、介護費なども支給の対象になります。しかし、老後破綻しているからと生活保護を申請しても条件を満たさなかった人、そもそも老後破綻しているにもかかわらず生活保護を申請したくないと考える人などもいるでしょう。老後破綻している世帯は、もっと多いとみられます。

老後破綻が起こるのはどうして?

そもそも、どうして老後破綻が起こるのでしょうか。その理由は、次の5つにまとめられます。

●老後破綻が起こる理由1:老後の収入と支出が把握できていない

老後破綻する人は、老後の収入と支出が把握できていません。現役のうちは収入と支出が把握できていなくても、収入がしっかりあるので家計は回っていきます(もちろん、把握するに越したことはありませんが)。
しかし、老後は収入が大きく減ってしまいます。にもかかわらず、支出はこれまでどおり…となると、家計のバランスが崩れて大きく赤字に。この赤字を放置しておくと、たとえ現役時代に年収が1000万円以上あっても、老後破綻の可能性が高まります。

●老後破綻が起こる理由2:支出に固定費が多い

固定費とは、毎月決まって一定額を支払う費用のこと。住居費、通信費、水道・光熱費、保険料、自動車費、その他年会費や月会費などがあります。固定費が多いと、その分生活に使えるお金が少なくなります。現役時代のように固定費を支払っていると、資金不足に陥る恐れもあります。

●老後破綻が起こる理由3:住宅ローンや子どもの教育費などの費用が残っている

晩婚化の影響もあり、定年を迎えても住宅ローンが残っていたり、教育費を支払う必要があったりするケースが増えています。住宅ローンの支払いも教育費も、収入があるうちはまだいいのですが、収入がなくなってからでは支払うのが大変に。老後資金に取っておいたお金を住宅ローンや教育費にあててしまうことで、老後資金が足りなくなる可能性があります。

●老後破綻が起こる理由4:将来受け取る年金がいくらかわかっていない

厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均年金月額は老齢基礎年金5万6252円、老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)14万4366円です。老後の生活の助けにはなるものの、これだけでは少ない…という方がほとんどでしょう。収入が少なくなることで、老後破綻となってしまう可能性があります。

●老後破綻が起こる理由5:貯蓄額が少ない

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60代の金融資産保有額の平均(金融資産を保有していない世帯を含む)は2427万円と頼もしい金額になっています。しかし、平均は一部の大金持ちが引き上げてしまうもの。全体の真ん中の人の金額を表す中央値は810万円ですし、金融資産を持っていない世帯も単身世帯で28.8%、二人以上世帯で19%もいるのです。

60代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(令和3年)より筆者作成

貯蓄がなかったり、あっても少なかったりすれば、年金でもらえる以上のお金は当然使えません。そうして、老後破綻を迎えてしまうのです。

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高山 一恵

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP) 2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め...

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