「FIREで海外移住」候補はどこ? 各国の生活費・住居費を解説
前回の記事(「FIREで海外移住」候補はどこ? 各国の税金事情を解説)で、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現すれば、必ずしも日本に住む必要がないことを紹介しました。海外の国の中には、日本よりも税金の安い国もたくさんあります。そうした国に住むことで、日本よりも納める税金が少なくなり、生活コストを下げられます。
今回は前回に続いて、FIREの海外移住先候補の生活費や住居費をご紹介します。海外移住することで、生活コストはどの程度安くなるのか、見ていきましょう。
物価の安い国に移住すればFIRE後の生活が快適に
FIREを実現するには、資産運用をすることで生活費をまかなえるだけの資産を用意する必要があります。ですから、どれだけの資産が必要かは、FIRE後にどんな生活をしたいかによって変わってきます。
といっても、十分満足できるだけの生活費を資産運用で用意しようとすると、FIREに必要な資産もかなりの金額になってしまいます。FIREに必要な資産は、「4%ルール」(生活費を投資元本の4%以内に抑えれば資産が目減りせずに暮らせる、とするルール)から考えると「年間支出の25倍」です。仮に生活費が年300万円ならば7500万円ですが、生活費を400万円にしたいなら、1億円を用意する必要があるのです。
必要な生活費を少なくできれば、FIREに必要な資産も少なくて済みます。しかし、FIREを実現できても、FIRE後も節約が続くことを忘れずに。FIRE後も余裕がまったくなければ、生活も味気ないものになってしまいます。
そこで考えたいのが、FIRE後の生活費や住居費を抑えること。つまり、引っ越しです。
引っ越しして生活費が下がり、年間支出そのものが少なく済むようになれば、それだけFIREに必要な資産も少なくて済みます。仮に、引っ越しによって生活費や住居費が抑えられ、年間支出が250万円になったとしたら、FIREに必要な資産は250万円×25=6250万円で済みますし、年間支出が300万円の想定でFIRE資産を準備していたなら、少し豊かな暮らしができると考えても良いでしょう。
もちろん、国内でも物価がより安い地方に移住することで、自然と支出は下がっていくでしょう。しかしFIRE後、何も日本に住まなくてはならない、という制約もありません。サイドFIRE(資産運用に加えて好きな仕事をしながら暮らすFIRE)の場合でも、とくに個人事業主・フリーランスなら海外移住も現実的な選択肢になりえます。より物価の安い海外に移住することで、FIREが実現しやすくなりますし、FIRE後の生活も豊かなものになるでしょう。
FIREの海外移住候補の生活費・住居費
前回、海外移住候補として掲げたタイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマー・インドネシア・シンガポールの6か国のデータを、順に確認していきます。データの条件を揃えて各国の比較をしやすくするため、今回は世界各国の物価や生活費をデータベース化しているサイト「NUMBEO」の情報を参考にしています。以下のデータは2022年7月5日調査時点のものです。
なお、NUMBEOに記載されている日本の生活費・住居費は、次のとおりです。
【日本の生活費・住居費】
・4人家族の生活費(住居費なし):429,547円
・1人暮らしの生活費(住居費なし):119,793円
・市内中心部のアパート:101,742円
・郊外のアパート:63,480円
・日本での生活費は平均して米国より9.95%低い
・日本の住居費は平均して米国より55.25%安い
データはNUMBEOに入力された情報の平均値。生活費には食費、通信費、水道光熱費、交通費などを含んでいます。同じ国内でも、大都市と地方では生活費や住居費に差が出てくるので、あくまで参考程度にとどめておいていただければ幸いです。
日本の生活費は高いと感じる方が多いと思いますが。それでも米国よりも10%近く低いそうです。また、住居費にいたっては米国よりも55%も低いとのこと。米国に住むのは大変そうですね。
このデータを基準として、海外移住候補の国のデータを見ていきましょう。