決算書は会社版家計簿!?どこを見れば良い?どんなことがわかる?株式投資のポイント解説

決算書は会社版家計簿!?どこを見れば良い?どんなことがわかる?株式投資のポイント解説
マネーケア

個別株式投資するならチェックしたい決算項目は?

決算書の資料は膨大な量であるため、全部に目を通そうと思うと気が遠くなってしまいます。とくに最初は右も左もわからないため、途中で読むのを諦めてしまうこともあるでしょう。

続いては、たとえ決算書の全部を読めなくても、ここだけをチェックしておけば良いというポイントを紹介します。

業績の見通し変化

2022年2月時点では、上場企業は本決算のほかに、年に4回、3カ月ごとに四半期決算という短期間をまとめた決算を発表しなければいけないこととなっています。この四半期決算では通年の見通しの変化が発表されることがあり、予定より収益が見込めそうな場合は「上方修正」、予定を下回りそうな場合には「下方修正」という形で発表されます。

このような修正は株価にもすぐに反映されるため、見通し変化はチェックしておくと良いでしょう。

利益率や増収率

利益率と増収率も決算書で確認したいポイントです。利益率には「営業利益率」や「1株あたり利益(EPS)」などがありますが、どちらも重要です。

「営業利益率」はいかに効率的に売上から利益を出せているかがわかり、「1株あたり利益(EPS)」は1株がどれくらいの利益を生みだしているかがわかります。

営業利益率は業種によって異なるため、同業他社と比べるのがおすすめです。また1株あたりの利益率も重要視する投資家が多い項目です。1株あたり100円の利益を出している会社より、1株あたり1,000円の利益を出している会社の方が、投資家にとって魅力的に映るでしょう。

ほかにも、決算書にある増収率もチェックしたいポイント。会社が成長していないと株価の上昇や配当金などのリターンを得ることができないため、増収率を見て収益を伸ばしている会社かもチェックしておきましょう。

資金

いくら営業利益が良くて今後の事業の伸びに期待できる企業であっても、手元に現金がなければ資金はショートします。流動資産やキャッシュフロー計算書などを確認し、資金繰りも確認しましょう。

決算書の業績が良い会社の株が上がるとは限らない!?

決算発表後、決算書を見て業績が良いと感じて投資をしても、株価が上がるどころか下がることも珍しくありません。では、好決算でも株価が上がらない理由には一体どのようなものがあるのでしょうか。

決算折り込み済

好決算でも株価が伸びない会社の中に、決算発表前にすでに良い結果になることが想定されて、株価が上昇しているパターンがあります。その場合、決算時の情報をすでに織り込んだ株価になっているため、今後の上昇の期待値は薄くなるでしょう。

大口機関の売り圧

日本株の取引をしているのは私たち個人投資家だけでなく、海外大口機関も同じです。機関投資家は大きなお金を動かすため、個人投資家の資金力では太刀打ちできないことがほとんど

大口機関は日々取引をしているため、決算書以外の項目からも動きを確認する必要があります。いずれも機関の投資結果を見るものであるため、実際の市場での売買では気配を読むなど、経験を積むしかありません。

個人投資家が株を買いたいタイミングで大口機関がたくさん売ろうとすると、需要と供給が見合わず株価が軟調になることがあります。頑張って張り合おうとすると損することが多いので、様子を見ながら取引するのがおすすめです。

世界情勢や政治的要因

株価は会社の業績だけでなく、地政学と呼ばれる世界情勢や政治的要因に影響されて値動きします。震災が起きたときやコロナウイルスが感染拡大したときに株価が暴落したのも、地政学が原因と言われています。

地政学による値動きは対処することが難しいため、落ち着くのを待つか、ほかの企業への投資に切り替えても良いでしょう。場合によっては、決算が良かったのに地政学リスクで株価が下落しているときが投資のチャンスになることもあります。

これは、今後会社の業績は成長していくことが見込めるのに、為替や政策、世界の争いなどが原因して一時的に株から手を引いていることに起因します。そのため、為替や政策など外的要因が落ち着けば、再び株価が上がる可能性に期待できるのです。

いずれの場合も、決算書以外の項目も確認しつつ慎重に判断していきましょう。

決算書が読めれば投資がもっと楽しくなる!

決算書は会社にとっての家計簿のようなものです。会計期間を振り返り今後の見通しを立て整えることは、家庭と会社で規模は違えど大切ですよね。とくに個別株へ投資するのであれば、決算書を見て会社の財務状況を把握してから投資すると良いでしょう。

決算書にすべて目を通すのがしんどい場合は、紹介した重要な項目から見るのがおすすめです。ぜひ参考にして、気になる会社の決算をチェックしてみてくださいね。

marunon

2018年に投資をスタートさせた3児の母。 資産運用を通してお金の基礎知識をつけたいと思い、2022年にFP2級を取得。 マイペースに継続できる投資を心掛け...

プロフィール

監修者: 千見寺 拓実

株式会社インヴァランス 1994年生まれ。静岡大学卒業。2017年に株式会社インヴァランスに入社。 2級ファイナンシャルプランニング技能士

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