iDeCoの受け取り方 一括と年金で税額はどう変わる?どの受け取り方が良いのか

iDeCoの受け取り方 一括と年金で税額はどう変わる?どの受け取り方が良いのか
マネーケア
iDeCoの主な仕組み・特徴と税制上のメリット

iDeCoの主な仕組み・特徴と税制上のメリット
表:筆者作成

60歳が近づいたらiDeCoの受け取り方を自ら選択する

iDeCoは受け取り時に税負担を軽くする制度がありますが、受け取り方は自分で選ぶことになります。
「何歳から受け取るか」や「どのように受け取るか」を自ら選択する必要があり、その受け取り方によって税金の負担が変わります。

まず、「何歳から受け取るか」ですが、iDeCoで積み立てた資産は60歳以降に受け取りを始めることができます。
なお、60歳から受け取るためには以下の通り加入年数が10年以上という条件を満たす必要があります。

加入年数の受け取り開始年齢

加入年数の受け取り開始年齢
表:筆者作成

また、現在受け取り開始年齢は以下のように70歳まで引き延ばすことができます。
さらに2022年以降は75歳まで引き延ばしつつ、運用を続けること(加入は65歳までの延長)が可能になります。

つまり、iDeCoの受給開始時期は、60歳以降であれば、ある程度自分でコントロールできることが分かります。

iDeCoの加入可能年齢と受給開始時期

iDeCoの加入可能年齢と受給開始時期
図:筆者作成

一括で受け取るか、年金で受け取るか、控除額はいくら?

iDeCoの受け取り方法は一括で受け取る方法(一時金)と、分割して受け取る方法(年金)の二種類があり、どちらかを自分で選択することができます。また、その両方を併用することもできます。

一時金で受け取る場合

一時金で受け取った場合は、一定額まで税金がかからない退職所得控除があります。退職所得控除の額は、掛金の積み立て年数によって計算方法が変わります。

退職所得控除額の計算方法

退職所得控除額の計算方法
表:筆者作成

上記の金額以下なら全額非課税で受け取ることができます。
上記金額を超えた場合には、所得を1/2にした上で通常の所得税がかかり、金額に応じた区分に従って課税されます。

一般的には、税制面で有利な「一括」での受け取り方がおすすめです。しかしながら、会社員で退職金を受け取る方は注意をしてください。
退職所得控除の枠は、退職金とiDeCo積立金の合算金額が対象となります。つまり、退職金で退職所得控除の枠を使い切ってしまうという場合は、iDeCoで積み立てた分に税金が発生してしまい、大きく損をすることになります。この辺りは後ほど解説します。

年金で受け取る場合

分割して年金として受け取る場合は、5年以上20年以下の有期年金として受け取ることが一般的です。1ヶ月に1回や2ヶ月に1回といった受け取り方法等については、それぞれの金融機関ごとで異なるので確認をしておきましょう。
また、年金で受け取る場合の税金の扱いは公的年金と同じ雑所得となり、一定額まで税金のかからない控除枠が用意されています。このことを「公的年金等控除額」といいます。

公的年金等控除額の計算方法

公的年金等控除額の計算方法
表:筆者作成

年金受取の注意点としては、公的年金の収入とiDeCoの収入の合算の金額から公的年金等控除を差し引くという点です。65歳以上になるとほとんどの方は公的年金を受け取りはじめますので、その分だけですでに所得控除枠を超えてしまう方がほとんどです。
そのため、iDeCoの収入を合わせると、iDeCoの収入分がすべて課税されてしまうというケースが多くなります。

iDeCoはどうやって受け取るのが良いか、フローチャートで考えよう

では、どのような受け取り方が最も損をせずに済むのでしょうか?
節税効果をより高めるためのおすすめの受け取り方は以下のフローチャートで考えてみると良いでしょう。

iDeCo受け取りフローチャート
図:筆者作成

結論、自分の会社に退職金制度がない、あるいはあっても受取額が少額であれば、基本的には「一時金」を選択しましょう。
そうでないなら、「年金」としてまたは「年金+一時金」の併用で受け取るのがおすすめとなります。

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KIWI

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。 プ...

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