2021年度は0.1%の引き下げ! 年金支給額はどう決まる?

マクロ経済スライドによっても年金の支給額は変わる
少子高齢化による人口変化にも対応
年金の改定ルールは「本来の改定率」だけでなく、2005年4月からは高齢化の進行や現役世代の増減により年金額の伸びを調整する「マクロ経済スライド」という仕組みも導入されています。
「マクロ経済スライド」とは、公的年金被保険者の減少と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率が設定され、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合にのみ改定率から控除するものです。
この仕組みは、2004年の年金制度改正において導入されました。
分かりやすく言い換えれば、年金をもらう側の高齢者の平均寿命が伸び、保険料を払う側の現役世代の数が減っていく中、ありのままの年金額を支払うと、支え手である現役世代の負担が増えすぎてしまう、そして現役世代が将来受給できる年金が過度に減ってしまうため、その伸びを抑制することにしているのです。
デフレ基調ではマクロ経済スライドは発動しない
導入された背景には、年金財政の悪化を受け、現役世代が負担できる範囲内で年金給付を調整しようという目的があります。この「現役世代が負担できる範囲内で」というのがポイントで、マクロ経済スライドによる調整は常に行われるものではなく年金額が賃金や物価の上昇により、プラス改定される場合に限ります。
例えば、物価が1%伸びたので、年金額も1%プラスされるという場合、マクロ経済スライド調整による調整が▲0.3%としたら、年金額は0.7%プラスに抑えられる、というイメージです。
調整がしきれない分は、翌年度以降に繰り越し(キャリーオーバー)される
マクロ経済スライドは、将来年金を受け取る現役世代の給付水準を確保することにつながりますので、調整を計画的に実施することが望ましいのですが、2005年に制度がつくられて以来、日本経済のデフレ基調が続き、しばらく発動されることはありませんでした。
そこで、調整しきれなかった分を翌年度以降に繰り越し、賃金や物価の変動がプラスになったときに調整する仕組み(キャリーオーバー)も2018年度から導入されました。
最近では、株価上昇による景気回復や消費税の引上げなどを背景に物価上昇があった際の2019年度、2020年度の年金額改定においてキャリーオーバーの発動がされています。
「年金カット法」の適用 例外ルールが適用されなくなった
年金額の改定ルールは、前述の通り、2021年度から見直され、例外ルールが撤廃されました。
物価>賃金(賃金指数が物価指数を下回る状態)の場合には賃金変動に合わせて改定する基本ルールを徹底することになったのです。いわゆる「年金カット法」といわれているものです。
具体的には、「物価は上昇、賃金は下落」(以下の【ケース1】に該当)の場合、例外ルール①ではスライドなし(据置き)ですが、新ルールでは賃金スライド(マイナス改定)になります。
ケース1 物価変動率がプラスで賃金変動率がマイナスの場合:物価>0>賃金
図:筆者作成
また、「物価も賃金も下落で、賃金の方が物価より下げ幅が大きい」(以下の【ケース2】に該当)の場合、例外ルール②では物価スライドですが、新ルールではやはり下げ幅の大きい賃金スライドになります。
ケース2 物価変動率と賃金変動率が両方ともマイナスの場合:0>物価>賃金
図:筆者作成
以上のことを踏まえ、2021年度の年金額がどうなったのかを見てみましょう。