国の借金って何? 借金の現状や減らす方法とは

マネーケア

では、どうすれば借金を返済できるのか

1114兆円にも膨れ上がってしまった国の借金を返済するには、まずプライマリーバランス(PB)を黒字化する必要があります。
PBとは、国の予算のうち、行政サービスの費用(=借金の元本と利息の返済以外の費用)を、税収(=借金以外)でまかなえているかを示す指標です。行政サービスをするために借金をしている状況では、いつまでも借金は返せません。ですから、まずは行政サービスを借金に頼らずにできるようにしなければいけない、というわけです。

プライマリーバランス(PB)とは

PBを黒字にするには、①歳入を増やす(家計で言えば「収入」)、②歳出を減らす(家計で言えば「支出」)しかありません。

つまり、経済成長などによって入ってくるお金を増やしつつ、予算をスリムにする取り組みが必要になります。
政府は当初2020年までのPB黒字化を目標に掲げていましたが、これを先送りして、2025年までのPB黒字化を目指しています。しかし、ここまで見てきた予算増大、借金増大の状況、新型コロナウイルスの経済への影響を踏まえると、達成は難しいでしょう。

「借金を返済するために、お札をたくさん刷ればいいのでは」という意見も聞かれますが、そうはいきません。
借金を返済するために新たに1114兆円ものお金を刷ったとすると、世の中に出回るお金の量が急激に増えることになります。すると、お金の価値が下がって物価が上昇するインフレ(インフレーション)が発生します。

急激なインフレ下では、たとえば今日100円だったリンゴが、明日は200円、あさっては400円などという具合に、値上がりして行くこともあり得ます。これでは、とても生活できないでしょう。そのうえ、「円」という通貨の信用度が大きく減ってしまうため、外国との貿易にも多大な影響が出ることになります。

日本経済には一人ひとりの考えが大切

国の借金は1114兆円もあること、そして行政サービスの拡大や国債の増加によって、PB黒字が厳しいことを見てきました。借金を一気になくす「打出の小槌」はなく、地道に返していくしかありません。
日本経済を復活させるには、日本人ひとりひとりの力が必要です。他人事にせず自分ごと化して、考え行動することが大切です。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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