芸能人のCM出演ランキング 税金はどのくらい納めている?
芸能人はCM出演でどのくらい税金を納めている?
下記の表は年間CM起用社数5社で総額2億円(1本あたり4,000万円)を稼ぐ芸能人の納税額(所得税・住民税)を簡易的に試算したものです。
芸能人が得る収入は、個人事業主として芸能事務所とマネジメント契約を結び事業収入を得るケースと、芸能事務所に入社して毎月一定額の給与収入を得るケースの二つが一般的です。
今回は個人事業主として事業収入を得ているケースで税金を計算しています。
*CM契約金以外の収入は考慮しない
**必要経費がスタイリスト代、衣服・美容代、車両関連費用(ガソリン代、保険料、車検費用、駐車料金等)、税理士報酬等を想定
***復興特別所得税、住民税の均等割、各種控除は考慮しない
上表の例ではCM契約金2億円が事業収入となり、芸能活動において必要な経費(スタイリスト代、衣服・美容代、車両関連費用、税理士報酬など)を2,000万円と仮定して、事業収入から必要経費を差し引いた1億8,000万円を事業所得としています。
住民税率は所得金額にかかわらず一律10%ですが、所得税率は所得金額に応じて5~45%の税率が課せられます。上表の例では所得税の最高税率45%が課せられることになり、これに住民税と合わせると、CM契約金総額の約半分となる9,900万円もの税金を納めなければなりません。
またCM以外に番組出演料などの収入もあるので、それを考慮するとさらに高額な税金を納めていることが予想されます。
芸能人が行っている節税対策
上記のように多くの収入を得る人気芸能人は、課せられる税金の額も大きくなります。そのため節税対策をしている芸能人も少なくありません。
芸能人が行う節税対策として最も代表的なものは、個人事務所の設立です。芸能人の多くは個人事業主として活動していますが、設立した個人事務所の社員として給与を受け取る形にすれば給与所得控除を受けられるほか、家族を個人事務所の役員にして役員報酬を支払うことで所得を分散させることもでき、個人事業主として税金を納めるより納税額を抑えることができるためです。
さらに個人事務所に課せられる法人税の実効率(法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などを含めた法人の実質的な税負担率)は、個人事業主として課せられる所得税と住民税を合わせた税率より低くなるといったメリットもあります。
また、副業として不動産投資を行っている芸能人もいます。不動産購入の際にかかる登録免許税や不動産取得税、さらに毎年かかる固定資産税や減価償却費、賃貸に出しているなら管理会社への委託料なども経費として計上でき、節税効果が期待できるからです。さらに不動産投資をして購入した物件を賃貸に出し家賃収入を得ることで、不安定な収入をカバーする効果もあります。
まとめ
日本の所得税は収入が多いほど高い税率が課せられるので、CM契約金や番組出演料などで高額な収入を得ている人気芸能人ほど、節税は切っても切り離せない問題と言えます。また昨年ニュースで話題となったチュートリアル徳井さんの脱税問題のように、芸能活動とは関係ない私的な旅費や衣服代を経費として計上するのは個人事務所であっても難しいため、経費を適切に計上することが求められます。
今後CM出演ランキングが発表される際は、「どのくらい税金を納めているのかな?」「どんな節税対策をしているんだろう?」といった視点で見てみるのもおもしろいかもしれませんね。