年金額が引き下げになる要因って何がある?

年金・社会保険

年金額を下げる要因は?

各年度で基準となる年金額は、前年度の基準額から「物価」と「賃金」によって上下します。つまり、物価が下がる要因や賃金が下がる要因があると、年金額が下がってしまいます。

物価が下がる要因、賃金が下がる要因としては、さまざまなことがあります。
国内では、食品偽装問題や不良品のリコール問題などがあると、商品の信頼性が崩れることで買う人が減ります。そうすると、価格を下げないと売れなくなってしまいます。
また、安価な輸入品の増加によっても物価は下がります。そのためコスト削減が必要になり賃金カットにつながることで、購買力の衰えも考えられるでしょう。
さらに、少子高齢化が進むことで税金や社会保険料の負担が大きくなり、手取り賃金の減少が考えられます。

世界で考えると、今回の新型コロナウイルスの蔓延など、人の動きが制限されると物が売れなくなって価格が下がり、それに伴って賃金が減少するなど、世界経済の停滞が挙げられます。その他にも、紛争や農作物の不作、難民問題なども影響します。
今や日本だけでなく、世界の経済状況によっても日本経済が大きく揺れるのです。

ただ、物の値段が下がりそれに伴って年金額が下がっても、購入できるものや量に違いがないので、大きな影響はないといえるでしょう。

問題が大きいのは、物価は上がったのに、現役世代の賃金が下がったときです。
先ほども書いたように、その場合基準額の改定をしないことになっていますが、2021年度からは賃金に合わせて改定率が下がることになります。そうすると、物の値段が上がったのに年金額が下がることとなり、生活に必要なものまでも購入できなくなって、暮らしが立ち行かなくなる可能性がでてきます。

物価が上がって賃金が下がる状況が考えられるのは、これも世界経済の動向によりますが、為替の影響で円安になると輸入する原料などが手に入りにくくなって物の値段があがるけれど、景気が悪くなって雇用が生まれず賃金が下がることなどがあります。
また、どこかで紛争が起こると、輸入が滞って物の値段が上がるけれども、物流の停滞で国内の雇用の減り賃金が下がることも考えられます。

まとめ

年金の基準となる額の変動は、個人の力ではどうしようもありません。
個人でできることは、公的年金は老後の収入の柱であることを認識して、基準の改定率を掛けたあとの金額が多くなるよう、保険料の納め忘れをせず、なるべく長期間働いて長く保険料を納めることができるようにすることや、受け取り始める時期を遅らせて、少しでも多い額が受け取れるようにすることです。

小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 企業で労務、健康・厚生...

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