20代の給料の使い方、配分の仕方を教えて【年代別】

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給与・ボーナス

20代から今話題のFIRE を目指す手も

20代の前半からコツコツ貯蓄できるようになると、20代後半にはある程度貯蓄が貯まっている状況になるはずです。

仮に手取り月収が18万円の場合、2割の3万6,000円を3年間貯めると約129万円貯まり、生活費の6ヶ月分程度を貯蓄できることになります。

20代後半からは、お金を貯めることに加えて、増やすことも考えていきましょう。

お金を増やすとなると、投資を考えていく必要があります。最初の投資に適しているのが「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは、年間の非課税上限金額40万円から得られた投資の利益が最長20年間非課税になる制度。ネット証券などでは100円から投資することができます。ラインナップされている商品は、一般の人でも中長期的に安定的にお金を増やせる商品かどうか、金融庁が一定の条件を設け、その条件をクリアした商品がラインナップされています。ですから、投資初心者の人でも始めやすいでしょう。

最初は少額からの投資でも良いですが、徐々につみたてNISAでの投資額を増やしていき、上限金額になるまで増やしていきましょう。つみたてNISA の年間の非課税上限金額は40万円ですから月額にすると約3万3,000円です。

つみたてNISAの非課税上限金額に達したら、次に並行してiDeCo(個人型確定拠出年金)もスタートすると良いでしょう。iDeCoは、自分年金を作る制度として注目されている制度。毎月一定金額を積立で運用し、その運用成果を老後に受け取ります。iDeCoの資産は、原則60歳まで引き出すことはできませんが、積立中、運用中、年金を受け取る時に税制優遇があります。iDeCoは働き方などにより、掛金の上限金額が違いますが、iDeCoもつみたてNISA同様、上限金額まで目指しましょう。

若いうちは、ライフプランが変化する時期なので、まずは、お金が必要になったらいつでも引き出すことができるつみたてNISAを優先し、その後、余裕があればiDeCoという順番が良いでしょう。

20代からFIREの考え方を取り入れることも重要

若い頃から資産運用をしてお金を増やす目的は、将来のさまざまなライフイベントに備えるためということの他にも、資産運用からも収入を増やすことによって選択肢を広げることです。

勤労収入以外の収入があり、経済面で余裕があれば、やりたい仕事に取り組めたり、趣味やレジャーなどプライベートを充実させたりすることができます。

現在の20代は、40代以上の世代に比べると、仕事に対する価値観が大きく違う傾向にあり、機会があれば転職して自分に合った働き方をしたい、プライベートの時間を確保したいと、自分らしい人生を望む人は多いので、資産運用からの収入を増やし経済的な自立をすることはとても良いことなのではないでしょうか。

実際、若い世代を中心に「FIRE」が話題になっています。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった造語。経済的に自立し、早期退職を目指す、といった意味です。昔のいわゆる早期リタイアは、億万長者になって仕事を辞め、あとは資産を切り崩して生活するといったイメージですが、FIREのいう早期退職は、資産運用によって収入(不労所得)を増やし、支出を減らし、きちんと貯蓄を行い、毎年の生活を賄っていくというものです。

たとえば、年間の生活費が300万円ならば、年間の資産運用の収入が300万円あれば、計算上は資産を減らさずに、資産運用の収入だけで暮らしていけることになります。

参考までにFIREを実現するためのルールをお話します。FIREを実現するために必要な資産(FIRE資産)を計算するのに用いられるのが「4%ルール」です。かんたんにいうと、「年間の生活費の25倍の資産を運用すれば、年利4%の運用益で生活費をまかなえる」というルールです。つまり、年間の生活費が300万円ならば、その25倍の7,500万円のFIRE資産を運用すればいいというわけです。この場合、運用益は7,500万円×4%=300万円ですから、年間の生活費と釣り合いますね。つまり、上記のケースで完全FIREを目指す場合には、リタイアする時点で7,500万円の資産が必要ということです。

もっとも、4%ルールの「4%」はあくまで米国の株式市場を元にしたデータですし、過去のデータよりはじきだされた数字ですので、必ずしも4%で運用が続けられるという保証はありません。もし、年4%の運用ができなければ、不労所得が減ってしまいます。この場合は、支出を削るか、働くなどして他の収入で補う必要が出てきます。それができない場合は、資産を取り崩すことになります。

つまり、完全FIREを目指すとなると、かなりハードルは高くなり、多くの人が目指せるわけではありません。そこで、考えたいのが勤労収入+資産運用収入を組み合わせる「サイドFIRE」です。例えば、年間支出が300万円だとすると、資産運用の収入は100万円を目指し、残りの200万円は勤労収入で得るという場合であれば、100万円の25倍ですからFIRE資産は2,500万円用意すれば良いということです。

ちなみに、毎月7万円を運用利回り4%で20年間運用できれば、約2,500万円になります。若いうちから節約しつつ、コツコツと投資を続けていけば、サイドFIREの実現の可能性はぐっと高まりますね。

これからはマルチワークの時代!副業も上手に取り入れよう

近年は、政府でも副業を推進する動きがあり、副業をする人も徐々に増えています。日本企業は一生懸命働いてもなかなかお給料が上がらないという傾向があるので、副収入を得るためにも、本業の仕事に慣れてきたら副業をやってみるのも良いでしょう。

副業をする際に意識しておきたいのが、継続性があり、専門性があるかどうかです。

例えば、本業後にコンビニで夜間から明け方まで毎日アルバイトをすれば、ある程度収入を増やすことができるかもしれませんが、体力的に続けられない可能性は高いでしょう。また、仕事を続けていても、さらに収入を上げることは難しいのではないでしょうか。

一方、自分の専門性やスキルを活かした高単価の仕事ができれば少ない時間で高収入を得られる可能性は高いでしょう。

得意分野と言えるものがないという人は、まずは、誰でも気軽に始められるメルカリなどのフリマサイトを利用する手も。続けることで、商品を売れやすくするコツや写真の見せ方などのノウハウも貯まり収入が増える可能性もあります。

現在の20代は、低成長の時代を長く生きていくことになります。若いうちからお金の知識を身につけることで、充実した人生を送れる可能性はぐっと高まります。家計管理や貯蓄の習慣をマスターしつつ、経済的自立を目指すために、資産運用や副業などにもトライしていきましょう。

高山 一恵

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー(CFP) 2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め...

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