日本の個人GDPランキングは26位に…経済成長はどうなっているのか

マネーケア

日本の個人GDPが下がっている理由

GDPは国全体の経済活動をはかる指標であり、大きいほど経済的に豊かな国とされています。一般的に、一人当たりのGDPが1万ドルを超えると先進国と言われています。

GDPは国全体の値なので、GDPが高いからといってすべての国民が豊かとは限りません。国民の裕福度は、一人当たりのGDPの値が実像に近いとされています。
一人当たりのGDPが高いほど、お金をたくさん稼いでたくさん使う、という活発な経済活動があると言えます。

実際、日本ではバブル経済がはじけてからは長いデフレの時代が続き、給料は増えず、金利は低い、といった閉塞感、停滞感がぬぐえません。一部の富裕層は豊かな暮らしを楽しんでいても、その一方で非正規労働者が増え、収入が少ないことで結婚や出産をためらう若い世代が増えていることも問題となっています。
やはり、国民一人一人を見ていくと決して豊かとは言えないことが、一人当たりGDPのランキングが下がっていることにも表れているようにも考えられます。

しかし、気を付けておきたいのは、国際比較をする場合にはお金の単位を共通にするので、その時々の為替レートに影響を受けるということです。

IMFのデータでは、USドルを用いています。日本の100万円が、1ドル=100円なら1万ドルですが、円高で1ドル=80円なら1万2500ドル、円安になって1ドル=125円なら8000ドルにしかなりません。
2010年には1ドル=80円台~93円台の円高でしたが、2018年には1ドル=102円台~115円台の円安なので、2018年の数値が下がっても仕方がないのかもしれません。

また、人口の構成にも影響を受けます。GDPは一人あたりの生産性×人口とも考えられますから、人口が多ければGDPは上がります。しかし、生産性が落ちればGDPは減り、結果として一人当たりのGDPも減ってしまいます。

日本では、2000年の総人口は約1億2700万人、2018年には約1億2000万人と、年々減ってきています。
しかも、超少子高齢化により、15歳未満の人口と、15歳~64歳の人口は減り、65歳以上の人口は増えています。

日本の人口の推移


出典:総務省「人口推計の結果の概要」を元に筆者作成

いわゆる労働人口と言われる15歳~64歳の人口は1000万人以上減り、逆に65歳以上が1000万人以上増えていることが、一人当たりのGDPを下げている原因のひとつだと言えるでしょう。

経済成長するために必要なこと

では、今後の日本が経済成長をするために必要なことは何でしょうか。

超少子高齢化と人口減少は避けられませんが、生産性を上げること、そして労働人口を増やすことは可能ではないかと考えます。ICTをはじめとした情報通信技術の発達などは、生産性向上につながるでしょう。
また、65歳を過ぎても元気に働く人は珍しくありません。

働き方改革が進むことで、今後は子育てや介護をしていたり病気や障害があったりする人も、自分のペースに合わせて働くことができ、社会で活躍できるのではないでしょうか。
多くの人が自分の力を発揮してお金を稼ぎ、欲しいものを買えることは、暮らしの豊かさを実感できることに繋がります。

一人あたりのGDPも重要な値

個人の豊かさは、他の人や国と競うものではないかもしれません。しかし、一人当たりのGDPは国民の豊かさのバロメーターです。その値が近年大きくランキングを下げていることは、やはり重く受け止めるべきです。
生産性向上と働き方改革はどの業界でも急務です。時代の波に乗る企業を見極めることが、今後ますます重要になっていくでしょう。

タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

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